二話「記憶」
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る。よほど、自分よりも上手いのが気に入らないのだろうか?が、そのとき。
「あ!いたいた……」
俺たちのもとへため息をつきながらこちらへ河南子と同い年の少年が歩み寄ってきた。
「やっぱり此処にいた……生徒指導の先生が顔を真っ赤にしてるぞ?
「鷹文、なにしてんの?」
首をかしげて河南子が、歩み寄ってきた鷹文という少年に尋ねる。
「それはこっちのセリフだよ!勝手にサボるんだから先生に言われて探しに来たんだぞ?」
「だってあのゴリラすんげぇ嫌なんだもん……先公なんかより、シンオッサンと遊んだほうがいくらか面白かったし?」
「シンオッサン……?」
そう鷹文は河南子の隣に立つ青年こと、俺に目を向ける。すると、鷹文も河南子と同じように俺を見て目を丸くする。
「……え!うそ……」
「……?」
俺は、そんな驚きを隠せない鷹文を見て、またかと思った。
「あの人に、似ている……」
呟く彼は、俺に尋ねた。
「あの、どちら様ですか?」
そう丁寧に尋ねる鷹文に、俺は河南子との経緯を話した。
「いや、偶然道端で出会って……この子に誘われてここまで連れてこられたんだ」
「ハァ……またかよ?」
再びため息をつく少年は、河南子へ振りかえって彼女に説教をした。
「河南子!お前いい加減、関係ない人を自分の遊びに巻き込むなよ!?」
「別にいいじゃん、シンオッサンだってノリノリだったんだし……」
「いい加減に、その「シンオッサン」って呼ぶの、やめてくれねぇか?」
俺は苛立つ。
「すみません、シンさん。あとでコイツにようく言っておきますから……その、河南子がご迷惑をおかけして。すみません……」
河南子に代わって謝罪する鷹文だが、俺は別に迷惑でもなかった。
「いや、俺は構わなかったぜ?それよりも、河南子……お前は早く学校へ戻れ」
そう、俺は河南子のことを案じ、鷹文に彼女を引き渡そうとするが、
「はぁ?ざけんなよ、今日の河南子さんは休暇中だっつうの!」
「遊びはこれで終わりだ。早く、ソイツと一緒に学校へ帰れ」
「真面目ぶってんじゃねぇよ!」
ゲスッ……
「痛……!」
そういう河南子は往生際が悪く、俺の膝を蹴ると一目散にゲーセンから出て行ってしまった。
「おい!河南子!!まったく……シンさん、大丈夫ですか?」
「あ、ああ……大丈夫だ」
「すみません、いろいろと……では!」
そういうと鷹文は、俺に背を向けるが、
「おい、待ってくれ……」
「え?」
俺は呼び止めた。
「一緒に探したほうが早い。俺も探そう」
「え、でも……」
しかし、鷹文には抵抗があった。確かに、見ず知らずの人間からの協力を受け入れるのは遠慮と俺に対する不信感があるに違いない。
「……わかりました。では河南子が行きそうな場所を言いますので、とりあえず二手に分かれ
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