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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第十八話 死者と真実
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「あ、ああ……ああッ……」
聞かれたからこそ容赦なく答えを与える。行いには相応の対価を、答えを求めようと思うなら真実を知った上でも許容し行動できる強さを得るべきなのだ。それが出来ないなら彼女はこの戦いの場にいる者として相応しくないということになるがゆえに。
涙を流し、嘆き苦しみ、絶望に打ちひしがれるが故に壊れたかのように乾いた笑みを浮かべて笑う。最早、道化であり自分の生きる価値すら見ることが出来ない。
「さて、知った上で如何したい、螢ちゃん?」
それは悪魔が囁くように、地獄へと彼女を連れ去るかのごとく彼は彼女を己の都合の良い方に誘惑する。知ってなお突き進むか、一矢報いるか、それとも彼に救いの道を教えてもらうか……
間違ってもその先は地獄よりもある意味では恐ろしい道であろうが、絶望を知った彼女は視力を失った子供のようにその安易な道に縋り付こうとする。
彼は微笑む。それは他者からみれば酷く歪で残酷な表情であるだろう。彼にとってはこの甘言によって誘導する彼女は慰み物(・)であり玩具なのだ。
だが、果たしてこうなることを予想した人物はいないのだろうか。彼がある意味では高く評価していた人物はこのことを止める手立てを何ら用意していないといえるだろうか。そして、その答えは否であった。
彼女の懐に入れてあった仮面はトバルカインと化し、そしてそのまま雷撃が迸り、アルフレートごと地面を穿とうとする。とっさに気付いたアルフレートはいかに人が少ないとはいえ周囲に喧騒を起こさないようにするために消音と隠匿の術式を展開させる。だが、そのよう周りへのの配慮を顧みないトバルカインは剣を振り下ろしアルフレートを吹き飛ばした。
「…聖、餐杯……コロ…ス」
(やられた。リザ・ブレンナーは少なくとも誰かが彼女を利用することを考慮してそういった行いをする人物が聖餐杯であると認識させるように命令したということか。だが故に……)
「それは自殺行為だったということを教えてあげよう。言っておくが僕は君を許したつもりは無いんだ。手を出さなかったのは螢ちゃんがそこに居たからだ」
そういって彼はある者を目覚めさせるための詠唱を紡ぐ。
「彼ほど立派な奴隷も、 彼ほど見下げ果てた主人もいない (Es gibt weder Sklave als herrlich,den wer ist, ein Meister ist ganz hinunter angesehen worden. )
故に、いつまでそうして寝ているつもりだ。小さな軍靴(カリグラ)らしく一兵士として目を覚ましなよ」
トバルカインが動きを止める。その身が何かに縛られるかのように、その身が何者かに奪われるかのように。
「黒円卓(ヴェヴェルスブルグ)の聖槍(・ロンギヌス)は櫻井の
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