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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第十八話 死者と真実
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は既に貴方が確認しているのでは?」

「こういうのは相互の認識を確認しておくことが重要なんだよ。それで…君は何が聞きたいのかな?」

彼女が彼に何を持ちかけてきたのか。それを確かめるべく言葉を発する。幸い病院でトバルカインに傷つけられたことは根に持っていない様子であり櫻井からしても話しかけやすいといえた。

「貴方は以前、スワスチカを開く気はないとそう仰ったはずです。しかし、貴方はバビロンを殺して開いた。何故ですか?」

「真面目な話さぁ〜、リザ・ブレンナーは僕にとって邪魔な存在だったんだよ。そんな中でね運よく彼女は殺されても仕方なの無いような不敬を働きかけた。ああ、いや実際に不敬を働いたわけじゃないけどね。でも、あの屍体愛好《ネクロフィリア》がもし生きていて真実を知ったなら今頃ヴァレリアよりも危険な裏切り者になった事だろうさ」

櫻井はその話を聞いて驚愕する。ヴァレリアが裏切っていることに気が付いてることも、それを止めようとしないことにも、彼がリザ・ブレンナーという存在をヴァレリアよりも高く評価していたことにも。しかし、それらを全てを含めても彼女は彼がいう真実という言葉に嫌な予感を感じていた。知れば何かを失うことになる。でも、彼ならそんな破滅を笑いながら否定する発言をしてくれるに違いない。そう思い尋ねる。

「少佐殿……真実、とは…?」

「言葉通り、聞けば引き返せなくなる黄金練成の秘密だよ。五色の色彩によって黄金を生み出す。つまり黄金の象徴である永遠によって死者は蘇り、生者は不老不死を得る。
そんな都合の良い妄想をまさかとは思うけど人を殺すという対価だけで出来るとは思っていないよね?」

そう言って嗤みを浮かべるアルフレート。櫻井は忘れていた。ヴァレリアが始めに言っていたであろう警告を。例えどれ程、戦場で経験を積もうとも所詮彼女は二十歳にも満たない若者である。知らず知らずのうちに彼女は彼が必ずしも味方をしてくれると勘違いをしていた。そんな甘い見通しが通用するはずもなくかれは言葉を紡ぐ。

「始めに忠告も助言もしたよね。前提が違うとも、望むなら手伝うとも。君はね良くも悪くも愚直だ。言われたことを疑うということが出来ない。だから利用され、騙され、捨てられる。いや、彼にとっては捨てたつもりは無いのだろうけど……」

聞きたくない、止めてくれと声にならない声で叫ぶ。きっと今から聞く言葉は何よりも自分を絶望させるのだと理解してしまったから。目の前にいる彼は悪魔の影に過ぎず、自分を陥れるであろう人物だから。

「この黄金練成は総てがラインハルト・トリスタン・オイゲン・ハイドリヒのエインフェリアになることが前提だ。つまりは城の法に囚われて永劫戦い続ける羽目になる。それは君にとって残酷な地獄への招待状ということなんだよ」

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