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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第十八話 死者と真実
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―――夜・海浜公園―――

どうしてこうなったのだろうと俺は原因となった目の前の状況を見つめる。トバルカインが神父を攻撃し続ける。俺たちは三騎士を斃す為に櫻井にも同盟を持ちかけようとしただけなのに争いになっている。

「櫻井、アイツを止めてくれ!」

「……無理よ……私には出来ないのよッ!」

櫻井は声を荒げて否定する。櫻井ではトバルカインを止めることが出来ないらしい。止められるのはシスターだけだと櫻井は言う。だが、シスターは既に殺されている。神父は手を貸せという。しかし、そんなことをして櫻井が味方になるのか。

「何をしているのです。早くしなさい!私は防ぐことは出来てもこちらから対抗する手段は持っていないのですよ!」

声を荒げてそういう神父。そう、神父の異常なまでの堅さを知ったからこそ、攻撃するための手段が必要だった。そのために俺は手を組んだ。だったら、今の現状でしなければいけないことは分かってる。けど、

「櫻井、お前はそれで本当に良いのか?」

止めるわけでも無く、かといってこっちを手伝うわけでもなく悩んでいる櫻井。今ここで目の前にいるトバルカインを斃して、果たして櫻井はこちらの交渉を聞き入れるのか。否、おそらく目の前の彼《・》は櫻井にとって重要な人物だ。死者の蘇生を認めるわけではないが、その理論を押し付ける気は無い。俺と櫻井は水と油のような存在だ。俺の意見なんて水掛け論にしかならない。

「……良い訳ないでしょ……」

そう言って剣を構える櫻井。櫻井はトバルカインを庇うように俺とトバルカインの線上に立つ。

「聖餐杯猊下、それ以上彼に手出しをしないでください。続けるというのならば、私は貴方の言う交渉とやらを受け入れることは出来ません」

「そうは言われましても、別に私から仕掛けたわけではないのですが。如何すればこちらの話を聞いていただけますかね」

神父はそれこそ世間話でもするかのように話しかけている。実際、攻撃を受けても何らダメージが通っているようには見えず、受け流すこともせずに受け止めているだけ。寧ろ反撃もせずに居る様子から櫻井は押し黙ってしまう。

「フム、確かにこの場で争うのも不毛というものでしょう。ではここは彼を置いて一度離れませんか?」

「……場所はどこ?遠くまで行く気なら行かないわよ」

「彼が私を攻撃しない位置でよいでしょう。幸い、彼が私を攻撃する範囲はあまり大きく無いことでしょうし」

神父はトバルカインから距離を取り、彼が攻撃してこないであろう範囲まで逃れる。俺はそれを追いかけ、櫻井は躊躇いながらも俺たちについてくる。

「それで聖餐杯猊下、提案とは一体何なんでしょうか?」

「簡単な話です。手を組まないかという話ですよ。あなたとて三騎士の戦いを見たな
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