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駄目親父としっかり娘の珍道中
第63話 バナナは腐る寸前が美味い!
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いると言う悲しい姿を残していた。

「ぶははっ、お前のそれ何だよ。幾ら料理下手でも其処まで来たら笑い者だぜ!」
「ぐぅっ、そ、それじゃあんたは剥けるって言うの?」
「んなの簡単だろうが。見てろよ」

 銀時はそう言うなり籠の中からリンゴを取り出し、フェイトの手からナイフを取り上げると慣れた手つきでリンゴを捌いていく。そっと銀時がナイフを置き、持っていた皿を皆に見せる。その上には綺麗に皮を剥かれ、更にウサギの形に剥かれたリンゴが其処にあった。

「う……上手い―――!」
「どうだ、参ったか? リンゴなんざ俺の手にかかりゃざっとこんなもんよ」

 得意げに鼻を持ち上げる銀時と、その銀時の腕前に敗北感を得るフェイト。

「む、こんな所にもリンゴがあったか」

 そんな銀時の作品とも言える剥いたリンゴにシグナムが突如上から何かを掛けてきた。乳白色で少し酸っぱい匂いのするドロドロした代物。まぁ、要するにアレなのだが。

「あぁ、シグナムテメェ! 何人の力作にマヨネーズぶっ掛けてんだ! これじゃ誰も食えないじゃねぇか!」
「何を言うか! これを掛ければリンゴが更に美味くなるではないか!」
「それはてめぇとニコチンマヨラーだけだ! 俺らを巻き込むな!」
「つべこべ言わずに貴様も一つ食ってみろ!」

 そう言うなり銀時の口に無理やりマヨネーズがたっぷりついたリンゴを放り込む。拒否しようとしたのだが既に遅し。銀時の口の中一杯にリンゴの甘味とマヨネーズの酸味の重奏曲が奏でられる。まぁ、恐らく相当不味いのは必須であろうが。

「ぐえぇ……げろマズ! 何しやがんだてめぇ」
「ふん、マヨネーズの良さも分からんとは哀れな男だ」
「そんな薄気味悪い奴の味なんて分かりたくねぇ!」

 どうやら、もう既にかなり酷い段階までシグナムの味覚は毒されてしまっていたようだ。まぁ、あんなニコチンマヨラー中毒の補佐を任されているんだから当たり前と言えばそうなのだろうが。
 
「シグナム、間違っても私らの食卓にマヨネーズを出したらあかんからな」
「な、主! それはあんまりではないでしょうか!」
「シグナムが使うと食卓すべてがマヨネーズ臭くなってまうんや。そうなると皆の食欲が失せてまうわ」

 はやてのその言葉に経験のある者たちがうんうんと頷いて見せた。どうやら相当マヨネーズには悩まされているようだ。

「な、ならばせめて主菜にマヨネーズをかける許可を下さい!」
「絶対あかん! それを許すとカレーとかにまでかけるやろが! 作った人に対する冒涜やそれは!」
「ぐ、ぐぬぬ……」

 ぐうの音も出ないとは正にこの事であった。主であるはやてにマヨネーズ禁止令を出されてしまったせいか、すっかりしょげてしまったシグナム。その隣ではやての決定
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