EP.23 幽鬼の巨影
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の支配者《ファントムロード》への怒りを一旦抑え、急いで仲間たちと共にマグノリアの妖精の尻尾のギルドへ戻ってきた。
彼女の無事に仲間共々ホッと胸を撫で下ろしたのはいいが、彼女の落ち込み様に、ただ狙われただけではないと察し、彼女の身の上の説明に、それが間違いではなかったと悟る。
自分はこの国を代表する資産家、ハートフィリア財閥の総帥、ジュード・ハートフィリアの娘である事。今回の騒動は、家出した自分を連れ戻すため、父・ジュードが幽鬼の支配者に依頼を出した事が原因である事。
そして、間接的にでも、家が、親友たちが、そして仲間たちが壊され、傷つけられ、負傷したのは自分の責任である、と。
「あたしの身勝手で、こんな事に……みんなに迷惑かけちゃうなんて……」
「そりゃ違うだろ。悪いのはパパ――」
「馬鹿!」
「あ、いや……ファントムだ!」
エルフマンとグレイの問答も聞こえておらず、自責に苦悶の表情をしながらもルーシィは続ける。
マカロフが重傷を負い、他の者たちも差こそあれど、傷を負っているものが多い事も、彼女の自責を強めていたのだ。
「本当にごめんね。あたしが戻れば済む話なんだよね……」
「そうか?」
「え?」
責めるでも励ますでもない、ただ純粋に疑問だという声に、ルーシィは顔を上げる。
彼女が見たのは、自分を妖精の尻尾に引き込んだ青年の笑顔だった。
「こうして言われてみても『お嬢様』なんて似合わねえ響きだし、この汚ねえ酒場で騒いで笑って、冒険してる方が『ルーシィ』って感じだ」
「!」
桜髪の青年・ナツの笑いながらの言葉に、ルーシィは目を見開く。
そんな彼女にさらに言葉を掛ける者があった。
「……言っただろ? 皆も同じ事言うだろう、ってさ」
「ワタル……」
「早かったな」
「飛べばこんなもんさ」
入り口から近付いてきたワタルはグレイの言葉にそう返し、ルーシィに向き直る。
「お前が何を言われてどう思ってるのかなんて、俺たちには分からない。みんな違う人間なんだしな。でもな、結局自分の居場所を決めるのは自分しかいないんだ」
「……あたしの、居場所……」
「ああ。ルーシィ……お前はどこにいたい?」
「あたし、は……」
俯くルーシィ。ワタルもナツもハッピーもグレイもエルフマンも黙り、彼女の答えを待つ。
「あたしは、妖精の尻尾にいたい。このギルドと、みんなとずっと一緒にいたいよ……」
「ならいればいいじゃねえか。妖精の尻尾がお前の帰る場所だ」
涙で濡れた声で切なる願いを絞り出すルーシィに、ナツが笑って答える。
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