EP.23 幽鬼の巨影
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者としての良き相談相手として、アルザックとワタルも仲は良い。
閑話休題
ワタルの言葉に二人は笑って無事を示した。
「ワタル……ああ、心配するほどじゃない。こうして見張りができるくらいだよ」
「私たちは大した事なかったんですけど、他の人のなかには重傷者も出ていて……」
聞けば、二人とも顔にガーゼや絆創膏、腕には包帯を巻いてはいるが、怪我人の中では軽傷の部類に入るとの事。それを聞いたワタルは安堵の息をつく。
「そうか……大事にならなくてよかったよ」
「ありがとう……それで、マスターは?」
アルザックは礼を言ったのだが、続けた言葉には心配そうな響きで溢れていた。隣のビスカも同じようで、緊張した表情をしている。
「……ポーリュシカさんを信じるしかない。それに、ミストガンも動いてくれている。きっと大丈夫さ」
「ミストガンが!?」
「本当なんですか、ワタルさん?」
「本当だ。それに、あのマスターがそう簡単にくたばる訳無いだろう?」
顔も知らないどころか、姿も見たことが無い妖精の尻尾最強候補のS級魔導士の名前に驚く二人にワタルが頷いて言うと、二人も安堵したかのように表情を緩ませる。
「そうか、そうだよな……」
「ええ、よかったわ……」
「皆にも伝えておきたいんでね。通ってもいいか?」
「ああ、ごめん」
「みんなにもよろしくお願いします」
「ああ。引き続き、見張りを頼むな」
慌てて道を開ける二人に相槌を打ちつつ、ワタルは地下室へ降りていく。
数時間前まで廃屋の如き沈黙に包まれていた地下室は、重傷者の呻き声に、仇も取れずに撤退するしかなかった自分たちに対する悔しさと苛立ちの声、再戦の準備をしている者たちの憎しみの声に溢れていた。昨日の、殴り込みに行く前の陰鬱とした雰囲気の方がましに思えるような強い負の感情が立ち込めていたのだが、ワタルが地下室に姿を見せるとそれも一旦は収まる。
マカロフを運ぶのにわざわざ式神まで使った事から、急を要するほどにマカロフの容態は悪いのだと誰もが察し、親同然のマスターを想って不安になり、心配していたのだ。
「――――だから心配ない。今は怪我を治す事と、ギルドを守る事に専念しよう」
否応なしに注目を集めたワタルが表でアルザック達に言った事と同じような事を言うと、ミストガンの名に驚くメンバーは多かったが、その表情は安堵したようなものとなり、ギルドの雰囲気も幾分か和らいだ。
そんな中で、彼は地下室の一角で悲哀と無力感、罪悪感をないまぜにした表情で樽に腰掛ける金色を発見した。
オーク支部から撤退する時、滅竜魔導士特有の鋭い聴覚で、ナツは彼女・ルーシィが狙われたと聞き、|幽鬼
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