EP.23 幽鬼の巨影
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事も無い未知の魔法に驚き、好奇心からミストガンの魔法について調べた事がある。
その結果……ミストガンの魔法は自分と似てはいるが、違うベクトルで魔力操作に長けたもの――具体的に言えば、ワタルは自分の魔力を介しての操作、ミストガンは大気中の魔力を直接操作する事に長けている――と推測したのだ。
今回なら、専用の道具や魔法を使って空気中のマカロフの魔力を結晶化、つまり魔水晶にして回収するところだが、肝心のマカロフの魔力はおそらくすでに大気中のエーテルナノと同化してしまっている、とワタルは考えている。
だが、ミストガンの大気中の魔力に干渉する事ができる魔法なら、オークの街周辺に漂うマカロフの魔力の痕跡や残骸を直接集める事が出来る……そう考えたのだ。
「……おそらく、私も君と同じことを考えているのだろうな」
「じゃあ……!」
ミストガンの返答に、ワタルは顔を輝かせた。
歩き出したミストガンは背を向けたまま答える。
「他ならぬ君の頼みだ……マスター・マカロフの魔力の回収、私が引き受けよう」
「ああ、頼む……って、他ならぬ? 俺、お前に何かしたっけ?」
礼を言われるような事に、思い当たる事は無かったワタルは首を傾げる。
「……いや、忘れてくれ。ではな」
「お、おい……ったく、アイツは……」
覆面で表情を見せないミストガンはそう言うと、ワタルの制止も聞かずに蜃気楼のように森の背景に溶け込み、そのまま消えてしまう。
疑問は残ったが、それを解決する術はない。ワタルは溜息を吐くと、指笛で上空に待機させておいた式神を呼ぶとそれに乗り、マグノリアの街に向かう。
「別人だと、分かっている筈なのだがな……」
飛び立ったワタルの式神を見送りながら、ミストガンは此処には居ない誰かを想い溜息を吐くと、マカロフの魔力を回収するためにオークの街に足を向けるのだった。
= = =
「アルザック、ビスカ、怪我はいいのか?」
そしてマグノリアの街、妖精の尻尾のギルド前。
ワタルは大鳥の式神から降りて元の紙に戻すと、半壊したギルドの前で見張りをしている魔導士、アルザック・コネルとビスカ・ムーランに話し掛けた。
二人は西部大陸からの移民で、長いこげ茶色の髪の男・アルザックは拳銃に魔法弾を装填して撃つ“銃弾魔法”という魔法を、緑の長髪の上に麦わら帽子をかぶった女・ビスカは銃器を換装する“銃士”という魔法を使う。
ちなみに、二人とも互いに片想いしており、ビスカの方は『銃器』と『近接武器』という違いはあるが、同じ換装魔法を使うエルザに憧れている。そういう事情もあってか、魔導士としてや、同じ恋の悩みを持つ
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