『本心』
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オッチャンは、怪我ないんか?頭打ってないんか?って探り探り色々聞いてきた。
零那は答えた。
『今更、こんな事くらいで傷つくほど弱くない』
レィプされて何も思わんって頭おかしい?
でも、特に暴力も無かった。
刃物突きつけられたりも無かった。
ただただ単純に汚い物体と体液の挿入を繰り返されただけ。
簡単に言うたら、皆が、恋人や夫婦以外の誰かとヤッてる事と同じ。
不道徳な汚い行為や。
知らん奴にヤラレたってだけ。
嫌悪感、吐き気、頭痛、拒絶反応、膣の痛みは相当やけど。
あんなクズな奴達に殺されんかっただけマシ。
不幸中の幸いってやつ?
むしろ自分が殺傷能力のある物を持ってたら殺してたかも知れん。
オッチャンが目の奥を抉る様に覗いてきた。
『強い弱いやないやろ?辛い筈や。傷ついてる。自分を犠牲にして他人の心配できるオマエが、レィプ受けて平気でおれる冷めた心では無い筈や!!』
『自分の事やからこそ諦めれるし辛くもない。イタミやか感じん。慣れやんか、こんなん。養父の時に受けた絶望的な闇に比べたら、今更って感じ。こんな小さい事件で傷つく位なら、とっくに零那は手段選ばず...他人に迷惑かけてでも死んでた。こんな程度、意地でも泣いたらん!!』
オッチャンが黙ってジィーッ!と見てくるけん続けた。
『笑い飛ばして終わりや。こんな蚊に刺されたような小さな小さな傷。トラウマにやか絶対ならん。強がりでも何でもない。本心や。心配されることが申し訳ないと思ってしまう位。』
オッチャンは、ゆっくり話し始めた。
『オマエの言う傷は、でっかいモンだけなんか?ちゃうぞ?小さい小さい傷かて立派な傷や。治していかなあかんねん。
でっかい傷は時間かけたかて消えんかったり痕に残ったり、傷が開いたりもするし、綺麗な完治が難しい。やからこそ小さい傷はシッカリ完治ささなあかんやろ?
世の中で言えば犯罪、被害者、トラウマになるような事件や。でもオマエはもっともっと苦しんで生きてきた。今回の傷は軽いやろう。でも、傷は傷やから治さなあかん。
簡単や!泣いてしまえ!今此処で!それで治る!!』
何故か意志とは裏腹に涙が溢れてきた。
止まらん。
『オマエが頭で思うより心はチャント傷を感じてるんや。』
『いやいやだから傷は付いてないって言うてるやん。』
『オマエ解らんのか?また、オマエん中の違うオマエが邪魔しよんか?受け入れろ!目を逸らすな!』
『...いや、ほんまに平気なんやって。悪いけど、もう弱くも無いし純粋でも無い...』
『じゃあ何の涙や!』
『そんなん知らんわ!』
なんでオッチャンと喧嘩せなあかんねやろ...
なんしょんやろ自分...
兄
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