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Element Magic Trinity
紅蓮の傍に寄り添うのは
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の、どことなく掴めないような笑みを浮かべるアルカはいなかった。
今まで抱え込んだ全てを感情に任せて吐き出すアルカが、そこにはいた。

「…大丈夫」

だから、ミラが代わる。
たとえ力不足でも、足を引っ張ってしまう可能性があったとしても。
あんなに辛そうに叫ぶアルカの辛さを少しでも和らげられるのなら、ミラは出せる限りの限界までを発揮する。

「ミラ」

よろよろと後ろに下がったアルカに呼ばれ、ミラは振り返る。
アルカは何かを言いかけたように口を僅かに開いたが、すぐに躊躇うように閉じ、「何でもない」と呟いた。
それを不思議に思いながらもミラはエストに向き直り、一瞬にして悪魔へと変身する。
銀髪を逆立て両腕を異形へと変えた悪魔ミラは、睨むようにエストを見る。

「…ミラ嬢、だったかな。君はアルカンジュの…恋人、なんだろう?」
「そうよ」
「……そうか」

ハッキリとした答えに、エストは目を伏せた。
その仕草はミラが見慣れたアルカのものと全く同じで、血の繋がりを強調しているかのようだった。

「!」

―――――とミラが思ったのとほぼ同時に、エストが杖を向ける。
展開した魔法陣から勢いよく炎が噴き出し、ミラはそれを飛ぶように回避した。咄嗟に後ろにいるアルカの身の危険に気づき振り返るが、それはいらない心配だった事にすぐに気づく。
アルカは炎の魔導士だ。大火(レオ)を使えば全ての炎を制御する事が出来る。薙ぎ払うように振るわれた右腕から何かが放たれたように、炎が消え失せた。

「オレは問題ない!…悪ィけど、任せる」
「任せて」

漸く聞こえた“任せる”に微笑みながらミラは答える。
アルカも力なくではあるが微笑み、こくっと頷いた。
それを視界に入れると、ミラは両手をエストに向ける。

「イビルエクスプロージョン!」
「水流」

両手から放たれた紫色のビームのような一撃を、エストは杖の先から放つ水で相殺する。
消えた水の奥、先ほどと変わらず立つエストの目を見たミラは一瞬行動を止めてしまった。
悲しそうで、寂しそうで、深い愁いを帯びていて―――――それを望んでいる目。そしてその目はミラを見ていない。見ているのは、その後ろに立つアルカ。
つまり彼は、アルカと戦う事を望んでいる。先ほど、あんなに謝罪の言葉を並べたにも拘らず。

「っソウルイクスティンクター!」
「くっ……落雷!」

紫の光の砲撃のような一撃を放つ。
足元に直撃したその一撃にエストは表情を歪めると、くるりと杖を回してミラに向けた。
それを舞うような軽い動きで避けると、ミラはアルカの前に着地する。

「アルカ、あの人の使う魔法は何?」
「……夢を描く者(ドリーム・ペインター)。頭の中で想像したものを魔力で構築して放
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