暁 〜小説投稿サイト〜
Element Magic Trinity
紅蓮の傍に寄り添うのは
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とスバルを男だと認識している事には全く気付いていないのだった。










「どーだハッピー!勝ったぞ!」
「あい、流石だね!」

一方、太陽の殲滅者(ヒート・ブレイカー)の異名を持つシオ・クリーパーを倒したナツは振り返ってハッピーに目を向けた。
てくてくと歩み寄るハッピーを、ナツはじとりと睨むように見つめる。

「お前…さっきティアがどうとか言っただろ」
「言ってないよ?」
「いーやっ!絶対言った!オレの耳は誤魔化されねーぞ!」
「ティアと聞き間違えてる時点で誤魔化されてるよね」

ビシッ!と指を突き付けて叫ぶナツに、やれやれとハッピーは首を横に振る。
と、そこに足音が近づいてきた。

「ナツさん!ハッピーも!」
「アラン」

駆け寄ってきたアランは呼吸を整えると、額の汗を手の甲で拭った。
確かアランはナツ達が入った塔の3つ隣の塔に入っていったはず。そこから走ってきたのならかなりの体力を消費している。
が、アランは呼吸を整えただけで十分だったらしく、ナツの手をぐいっと引っ張った。

「おわっ」
「来てください、下にエルザさんとヴィーテルシアさんもいます。他の皆さんはいないんですけど…ナツさんの鼻なら出口も解るんじゃないかと思って」

それだけ早口で説明すると、アランはナツの手を引っ張ったまま駆け出した。








「……ミラ」

息を切らしこちらを見つめるミラを、アルカは驚いたように見つめていた。
それでも零れた声は震えていて、見開かれた目は縋るような光を宿して、いつだって傍にいたミラは今のアルカの状態にすぐに気づく。
今の彼は壊れそうだ。少し、あと少し精神的な痛みを受けてしまえば脆く崩れてしまう。

「何で、ここに」
「私だって戦える…私も、ギルドの為になりたいの」

まだ接収(テイクオーバー)を取り戻したばかりだから、と。
皆がフルールに向かう際に、エルフマンに言われた言葉を思い出す。
やっと魔法が使えるようになって、ようやく自分の力不足に泣く事だって無くなったのに、久しぶり過ぎて上手く扱えるか心配だから、と。
確かにその通りだった。いくら魔法を取り戻したとはいえ2年のブランクがある。こんな戦いでは、かつてS級魔導士として活躍していたミラも足を引っ張ってしまうかもしれない。
その辺りを考えてエルフマンはそう言ったのだろうが、ミラは納得出来なかった。

「アルカ、下がってて。私があの人を倒す」
「だけど」
「大丈夫。私なら、大丈夫だから」

――――聞いてしまった。
――――聞こえて、しまった。
先ほどのアルカの悲痛な叫び。“こんな再会なら会えない方がマシだ”と我を忘れ叫ぶアルカの姿を、見てしまった。
いつも
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