DAO:ゾーネンリヒト・レギオン〜神々の狂宴〜
第十一話
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らば、これから行う攻撃は、たった一つだけ、それも、たった一撃なのだから。
だけれども、その一撃が担う意味はあまりにも大きい。だから、確実に当てる必要がある。
そのために、ハザードは己の異能を解放したのだ。
さぁ、準備は整った。
「今――――お前を取り戻す」
ハザードは、《人獣一体》がもたらした爆発的な身体能力を以て、駆ける。
思えば、この《獣聖》の力すら、運命に導かれて手にしたものなのかもしれない。今までハザードは、自らの性格から《獣聖》を選んだ、と思っていた。だが、この力がなければ、セモンに一撃を届かせられないという、最悪のルートへ至る可能性がのこされてしまう。
だが今、《獣聖》と、脳加速と、ありとあらゆる思いが、ハザードの一撃をセモンに届かせる。ソードスキルをかいくぐり、六門魔術を回避して、セモンへと近づく。届け、届け、と。
「このッ……来るなァァァァッ!!」
セモンの《両剣》が眩いエフェクトライトを宿す。高速で振るわれる一対の刃。その連撃は斬撃の嵐を生みだし、それは同時に壁となる。《神話剣》が誇る最強の《力》のソードスキル、《アラブル・バーニン・ヴァルヴレイヴ》。
――――その使い方は、違う。
そう。《神話剣》の上位ソードスキルは、防御のために在るのではないのだ。唯々、先へと進み、勝利をつかむために在るのだ。
――――守りに入ったセモンに、負ける筋合いなんて、俺にはない。
強い心意で、さらに自分を強化する。
この一撃は、必ず、届く。
だから。
「きぃぃぃよぉぉぉふぅぅぅみぃぃぃぃぃぃッ!!」
引き絞るように叫び声をあげて、ハザードはその拳を握る。驚愕に歪んだセモンの頬に、その一撃が――――ついに、収まった。
「……が……ハッ!?」
絞り出される空気。セモンの意識が、どこかへ飛んで行ったのが分かった。
「……あーあ、終わっちゃったかぁ……楽しかったんだけどなぁ……まぁ、いっか。目を覚ましても、そこには『本物』がいるわけだしね……なんて幸せなんだろ、清文」
ぽつり、と呟き声を漏らし、青いマフラーの少女は、陽炎のように姿を消した。
それと同時に、ハザードの《人獣一体》も、《脳加速》も解除される。凄まじい眠気がハザードの意識を刈り取らんと迫る。だが、此処で眠ってはいけない。
「清文!」
戦いを終えた勇者のもとに、姫が辿り着くのを見届けるまでは。
「清文……清文……!」
倒れたセモンに抱きすがり、コハクが何度も名前を呼ぶ。すると、まるでその声に引き寄せられたかのように――――うっすらと、セモンの眼が、開いた。
「あ……こは、く?」
「気が付いたのね……!」
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