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アラガミになった訳だが……どうしよう
夫になった訳だが……どうしよう?
57話
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と人参、キャベツを雑に切っておくように頼んだ。
「野菜切るの下手だけど、いい?こんな体だから、野菜みたいな小さなものを切るのはどうしても雑になるんだよ」
「ああ、むしろ雑にしてくれ。その方がいいからな」
大きさが揃わなければ火の通りがどうのと言われるかも知れないが、煮物やスープなど長時間火を通すような料理に関しては大きさがバラバラの方が俺は好きだ。
大きい人参のしっかりした甘みも、破片のように小さなジャガイモのスープを吸ってスープの塊のような旨味もいいじゃないか。
下処理の終わった小魚を鍋に放り込み、ハーブ、塩、レオの挽いたコショウを加えて出汁をとる。
「ねぇ、お父さん。ちょっと聞いていいかな?」
「何だ?」
「どうしてお父さん達はアラガミなのに美味しい普通の食事も食べるの?栄養としては意味もないし、お腹もそんなに膨れないでしょ?」
「ん?ああ、簡単だ。それが楽しみだからだ、料理にはその土地の食料をいかに美味く、かつ適切に処理するかという長い年月と経験が詰め込まれている。
そして、それは芸術やらと違い、一切の前知識なく食っても万人がその素晴らしさを享受できる。こんな凄い事はないぞ?」
「…… よくわかんないけど、お父さんが本当に料理が好きだって事は分かったよ」
「まぁ、あくまで俺のごく個人的な趣味だからな。そういう理解でいいさ」
出汁の味をみて、魚から味が出尽くした事を確認してから鍋の中身を濾して、切った野菜を放り込む。
あとは野菜やらの水分が出る事を考慮して、最後に味を塩コショウで整えて完成だ。
「ん、いい匂いだね。これ、なんていうの?」
「ウハーって言ってロシアのスープだ。本来は一種類の魚で出汁を取るんだが、俺はこうやって複数の種類で取ったほうが好きなんでな。パンと一緒に食べるといい」
そう言って、レオに一口味見させると彼は喜んでくれた。
「へぇー……凄いね。叩き売りされてるような小魚でも、こんな美味しいスープになるなんてびっくりだよ!!」
「個々は弱くとも繋がりを持てば凄い力を発揮するっていう点において、少々大袈裟かもしれんが料理とは人間と同じかもしれんな」
「あ、そうだね!!料理って凄いんだ……」
そう素直に反応されるのは予想外だったが、こういうところがレオのいいところなんだろうし、本来の彼なんだろう。それを以前のような復讐鬼のような一面を持たざるを得なくしたラケルに、俺は少なからず怒りを覚えた。
元々、原作知識としてロクでもない奴だというのは知っていたが、こうも身近にその悪行の結果を見せられるというのは中々頭にくるな。




「……むっ、美味しいです」
「なんで不満そうなんだ、ジル?」
風呂から上がってきた二人と共にウハーとパンを食べていると、ジルは何処か不満げな表情で
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