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ゾンビの世界は意外に余裕だった
17話、丘陵の手前で(前編)
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ゃ駄目だろう。

「磯部さん、高橋代表が決めたルールです。研究所の皆さん。申し訳ありませんが安全を確保するために高橋の帰りをここで待つか、後日、もう一度お越し下さい」

 高市とかいう女性は男の説得を一蹴して俺達に宣言した。

 まあ、高橋さんが不在だから仕方ない。ただ、既に無駄な時間を費やしていているので、手ぶらで帰るのも不満だ。俺は撃たれる危険性が低くなったと判断してワンボックスの外に出た。

「高橋さんのお帰りの予定は何時頃なのでしょうか?」
「二時間後の予定です」

 二時間も? しょうがない我慢するか。

「では、ここで待たせて貰います」
「わかりました」

 別荘の二人は自分達の車の側に戻った。すぐに運転手と助手席の二人だけが車に乗り込み、別荘地に向かって去る。

 一方こっちはやることがない。仕方ないから持ってきた弁当をワンボックスの中で一人で食べ始める。なんだか対面の連中の視線が厳しくなった。

 腹が減っているのか、アンドロイド達を放置して一人で食っているのが不快なのか、理由は不明だがかなりご不満なようだ。

 さらっと弁当を食い終えた俺は一個じゃ足りなくて二個目を食べ始める。

「コーヒーをどうぞ」
「ありがとうキャリー」

 キャリーがいれてくれたコーヒーを飲み、ようやく一息をつく。

 いや、なんか安心したら生理現象が起きてしまった。いきなり草村に向かったら潜んでいる奴に撃たれそうな気がするので、高市とかいう女性の許可を取るか。

「すみません」 
「なんでしょうか」

「草村へ芝刈りに行きたいのですが?」
「え? 後日では駄目でしょうか」

 近所でならお手洗いと通用するんだが……

「ついでにお花を摘んだりしたいと思いまして」

 何事にも動じないと思った高市さんの顔が若干赤くなり、分かりやすい磯部さんの顔がかなり遅れて真っ青になる。

「申し訳ありませんが、二名ほどつけて監視させていただきます。少々お待ち下さい」

 向こうから嫌そうな顔をしている男二人がやってきた。彼らが伏兵に問題ないとアピールしてくれるのだろう。リスクはあるがアンドロイド達を待機させて、誰にも見られない位置を入念に探して生理現象を済ませた。

 泡石鹸で手を洗った俺はアンドロイドが傾けたペットボトルから流れ出る水ですすぐ。そして、車に寄りかかって時間の過ぎるのを待った。


 ……そして、運悪く不在だった別荘グループのリーダーを待つと決めてから、早二時間半が過ぎた。

 その間、暇過ぎていつになく積極的になった俺は、コーヒーカップを差し出して別荘グループの高市さんに馴れ馴れしく話しかける。

「年は? キャリアウーマンだったの? 彼氏居る?」

 普段の大日本共和国ならセクハラと扱われる質問だが、リアル・ゾンビの世界では年=運動力や健康、OL=技能や知
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