シューティングゲーム
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「え?ああ、これはシューティングゲームよ。あれを見て」
そう言って、彼女は遠くに設定された的を指差す。的の直径は約50cm、真ん中に赤い点がついていた。
「50m先の的にそこにある銃で当てるの。弾数は3発、真ん中に近いほど賞金の額は高くなる」
ホログラムとして表示されている賞金は真ん中に近づくにつれて額が上がっていた。
プレイ料金が一回500クレジット。的の端から30cmのところは千クレジット、そこから更に10cmのところは1500クレジット、そこから更に5cmのところで二千クレジット、そして中心に当たると・・・。
「五十万クレジット!?」
「何でまたそんな額なんだ?」
シオンがそう尋ねると、少女は肩をすくめた。
「あの的の中心、寸分狂わず撃ち抜かないと貰えないのよ・・・」
「それならいつかは誰かが当てるんじゃ・・・」
「それもそうなんだけど、あの的常に上下左右にランダムに動くから当てるのは至難の技よ?」
「なるほど・・・」
そう言ってシオンはキャッシャーに手を置く。
「あっ・・・」
ゲートが開き銃を手に取ると銃口を的に向ける。的は言われた通り縦横無尽に動き回る。
「ふぅ・・・」
シオンは動き回る的を見ながら呼吸を整える。視界にはサークルが映り、心臓の拍動と共にサークルの大きさが大小入れ替わる。
「Shot・・・!」
放たれた弾丸は螺旋の回転と共に的へと向かっていく。
鉄の弾丸は中心の赤い印を撃ち抜こうとした瞬間、的は向きを変え、弾丸は赤い印の真上を掠めた。誰もが『ああ、また誰かが外した』、『また鴨がネギ背負ってきた』と思った。
しかしその思いは簡単に打ち砕かれた。何と弾丸は赤い印を撃ち抜いていたのだ。
何が起こったのか分からず二人を含め、近くを通り掛かったプレイヤーは唖然としていた。
ファンファーレがなると同時に、シオンには賞金である五十万クレジットとアイテムが贈られた。アイテムを見てみるとシューティンググラスらしきものなのだが、シオンはそれをストレージに収納した。
「あ、あなた今のどうやったの!?」
「ん?今のって?」
「的よ!外れた筈なのに何で当たったの!?」
「ああ、それか。確かに外れたよ、“一発目”は」
「一発目って、まさかあなた・・・」
少女は口をパクパクとした状態を繰り返したあとに言った。
「高速連射したってこと!?」
「ああ」
平然と答えるシオンに対して、この日二度目であろう少女の驚愕の声が辺りに響き渡った。
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