■■インフィニティ・モーメント編 主人公:ミドリ■■
壊れた世界◆ミドリという男
第五十二話 Midori-MHCP003
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て、俺への監視が緩んだ瞬間を見計らって、あいつの前に非好戦型モンスターを出現させた。それ以来ずっと、俺はあいつの側で、あいつを支え続けてきたんだ」
「だから、フウカはいつもテイムドモンスターの域を超えるような行動をしていたのか……」
「そうだ。俺はあいつに危険が生じた時、あいつに手助けをした。直接何かができるわけじゃないから、フウカを通してあいつに手を貸していたんだ。戦闘の時ばかりじゃなく、あいつの精神が不安定になるたび、俺はあいつの側であいつを支え続けた。あいつはいつも俺に護られていたんだ」
真相が明らかになったが、それはあまりにも非現実的だったため、その場のだれもが完全には認められないでいた。そんな中、窓ガラスを外側からつつく音がコツコツと響いた。ミドリがハッとして窓ガラスに駆け寄り、音を立てて引き開けると……ガラスの向こうに居たのはフウカだった。ばさりと翼を広げると、大きく羽ばたき、ミドリの肩にその鉤爪を食い込ませた。タイミングを見計らったような登場に、ミドリを含めた全員がポカンとしてフウカを見つめた。
「お前は……お前を散々利用したこの俺を、まだ信頼してくれるのか」
ミドリの問いに対し、フウカは一声鋭く鳴いた。ミドリは顔を伏せ、しばらく何も言わなかったが、やがてぽつりとつぶやいた。
「……ミズキを護っていたのは、俺じゃなく――こいつだったのかもしれないな。こいつの存在を俺は過小評価していたのかもしれない。こいつは――俺の力が及ばなかったせいで主人を失ったっていうのに、それでもまだ俺についてきてくれる。ああ、一体なんて暖かいんだ――」
ミドリの頬を涙が伝った。その感情がミドリのAIからくるものなのか、ミズキの生体脳からくるものなのか、そんなこととは何の関わりもなく――その場にはフウカの暖かさに涙する一人の男だけがいた。これが真実だった。ミドリがどんな存在だろうと、彼は等身大の人間にすぎなかった。マルバたちはわけのわからない存在であるミドリに対し感じていた、漠然とした恐怖感が無くなっていくのを感じた。
「ミドリ、もしよかったら私たちと一緒に来ない? マルバたちと一緒に居れば、きっといろいろ思い出せるだろうし」
それでいいよね、とサチはマルバたちに視線を向けた。マルバとシリカ、アイリアは同時に頷いた。ミドリはしばらく躊躇っていたが、ついに顔を上げた。
「――俺は、ヒースクリフを倒した英雄じゃない。君たちと長い間一緒に過ごした仲間でもない。それでも……この俺と一緒にいてくれるなら、俺は君たちと一緒にいたいと思う。受け入れて、もらえるだろうか」
それに対し、マルバは――首を横に振った。
「違う。君はフウカを通して、いままでずっとミズキを、僕たちを支えてくれていた。君は前から、僕たちの大事な仲間だったんだよ。ただ
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