暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語
■■インフィニティ・モーメント編 主人公:ミドリ■■
壊れた世界◆ミドリという男
第五十一話 彼はミドリだ
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脳破壊シークエンスが発動するまでもなく、ミズキさんの脳には既に十分な異変が生じていた可能性もあります。
 ミズキさんが強制再ログインしたとき、ミズキさんは思考する能力を失っていました。『援助機構』はあらゆる援助を試みて、しかし当然失敗したはずです。そのような例外的状況に対し、『管理機構』は『援助機構』の『なにをするべきか』という問い合わせに対し何も示せませんでした。『援助機構』はやるべきことはあるのになにをすればよいのかわからないという状況を処理しきれず――結果、暴走しました。『援助機構』はありとあらゆる援助を試みた結果……信じがたいですがおそらく、ミズキさんの意識を『援助機構』のAIが乗っ取る形で失われた意識を補完したのでしょう。カーディナルはシステム安定後、『観察機構』や『管理機構』など、MHCPの残骸を消去したはずです。ミズキさんの脳と同化したAIには気づかずに。
 ――以上が、わたしの仮説です。カーディナルの行動は完全な予想に過ぎませんが、私がミドリさんと同じ状況におかれたと仮定すると、おそらくこのような行動を取るでしょう。私がミドリさんの立場をシミュレーションした結果ととってもらって構いません。そういう意味では、十分に信憑性のある仮説です」

 信じられない話だった。しかし、この場の沈黙を破ったミドリが決定的な証拠を見せたので、皆は納得せざるを得なかった。
「……ただのIDかなにかだと思ったから今までなにも言わなかったんだが――俺の本当のキャラクターネームは、『Midori-MHCP003』なんだ」
 ミドリが示したステータスウィンドウには、確かにMHCPという文字が浮かんでいた。
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