■■インフィニティ・モーメント編 主人公:ミドリ■■
壊れた世界◆ミドリという男
第五十一話 彼はミドリだ
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象にします。すると、『観察機構』はカーディナルにプレイヤーの監視に移るということを伝え、一人のプレイヤーのみに注目するようになります。『観察機構』がそのプレイヤーの監視を十分に行い、プレイヤーの異常を十分に分析したとき、初めて次のプログラム――『援助機構』とでもいうべき、MHCPの根幹機能が起動します。
『援助機構』は高性能なAIを積んでいて、プレイヤーの悩みを聞き、それを解決することができます。『観察機構』から受け渡されたプレイヤーのデータを元に、プレイヤーの精神を安定させます。それが『援助機構』の役割です。いかにAIが高性能だとはいえ、AIに感情分析まで行わせるのには負担が大きすぎるので、このような分業体制になっているのです」
「それで、ここからがミドリさんの話です。サード・クオーター――すなわち、第七十五層でミズキさんがヒースクリフさんを倒したちょうどそのとき、カーディナルシステムに非常に大きな負荷がかかりました。これは私も確認したので確かな話です。おそらくヒースクリフさんとは全く関係のないことが原因でしょう。たかが一つの戦闘ではこのような大きな負荷は発生し得ませんから。
あまりに大きな負荷がかかったので、カーディナルはいくつかのプロセスの監視を中断したのだと思います。そのプロセスの中には、優先順位の低いMHCPも当然含まれていたのでしょう。そんな中、戦闘によってミズキさんの脳に大きな負荷がかかり、既にかなり危険な状況にあった脳がダメージを負いました。ミズキさんを監視していたMHCP――すなわちミドリさんはこのとき、ミズキさんへの早急な精神援助が必要だと判断したのです。すぐに『援助機構』が起動し、ミドリさんを援助しようとしました。
しかし、ミズキさんの脳波が一定値を下回り、ミズキさんは強制的にログアウトさせられました。それがあの場にいたみなさんが見た回線切断の警告だったのだと思われます。ここでログアウトしてしまえば、ミズキさんの精神援助を行うことはできなくなります。そこで『援助機構』は例外処理担当のMHCP下位プログラム、つまり『管理機構』にログアウトしたミズキさんの強制再ログイン実行許可を求めました。『管理機構』は即座にカーディナルに問い合わせをしたけれど、何も反応がない。なぜなら、カーディナルは発生した負荷への対処に手一杯だったからです。『管理機構』からの回答がないため、『援助機構』はAIの独自判断に従い、ミズキさんの再ログインを実行しました。
この時……もう手遅れだったのではないでしょうか。外的要因による回線断絶とは、通常は外部からナーヴギアを外そうとしたときに発生する現象です。おそらくナーヴギアの脳破壊シークエンスが実行され、ミズキさんの脳は破壊されていました。完全ではないにしても、意識が戻らない程度には十分に。あるいは、
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