第百六十三話
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第百六十三話 蝙蝠の歯
セレニティとアルテミスはそれぞれの場所にいながらこう話していた。
「それじゃあだけれど」
「ええ、そろそろね」
「寝る前だし」
「お口はね」
しっかりと、というのだ。
「磨いておきましょう」
「お口は綺麗にしないとね」
そうしなければというのだ。
「ご主人に言われるから」
「絶対にね」
こう話すのだった、そして。
ムササビのセレニティは蝙蝠のアルテミスにだ、ふと思いついた様に彼女に対してこんなことを言ったのだった。
「そういえば蝙蝠ってね」
「どうしたの?」
「蚊とかを食べるじゃない」
問うたのは蝙蝠の食べものについてだった。
「あんたはそっちよね」
「それはあんたも知ってるじゃない」
これがアルテミスの返事だった。
「そうでしょ」
「まあそれはね」
セレニティもアルテミスのその言葉に頷いて答えを返した。
「知ってたけれどね」
「それでどうして聞いたのよ」
「いや、ただ何となくね」
「何となくっていうけれど私はチスイコウモリじゃないから」
このことはアルテミスも断るのだった。
「そんなことしないわよ」
「血を吸うことはよね」
「そう、そうしたコウモリじゃないから」
「だから歯もあるのね」
「蝙蝠も種類によって食べるものが違うけれど」
それでもだというのだ。
「私はね」
「虫を食べるから」
「歯があるから」
「じゃあ私と同じね」
セレニティは自分のことも話に出した。
「そうなるわね」
「そうね、私と貴女じゃまた食べるものが違うけれどね」
「それでもね」
そしてだ、歯があるのならだった。
「じゃあ一緒にね」
「ええ、ちゃんと歯は磨きましょう」
「さもないと虫歯になるし」
「ご主人にも注意されるからね」
「ご主人も歯磨きはしてるし」
「私達もね」
しっかりしなければならないと話してだ、そのうえで二匹も歯を磨くのだった。アルテミスとセレニティも虫歯等にはなっていない。
第百六十三話 完
2014・8・30
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