暁 〜小説投稿サイト〜
妖精の義兄妹のありきたりな日常
きのこ狩り
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「…。」
「どうしたの?」
タクヤがざるのきのこを見つめているのを見てウェンディが聞いてみた。
「依頼には一本だけでいいって書いてたな…。」
「え、まさか…食べたいの?」
ウェンディは少々引き気味で聞いた。
「なんかこれ見てるとすげー腹が減って…。」

グゥゥゥゥ

そう言うとタクヤのお腹が唸りを上げた。
「えぇい!もう我慢できねぇ!!」
「あっ、ちょ…!!」

パクッ

タクヤはウェンディの制止を無視してきのこをかじりついた。

もぐもぐ もぐもぐ ごっくん

「……。」
「…お兄ちゃん?」
「ウェンディ…。」
タクヤはウェンディに詰め寄り始めた。
ウェンディも顔を赤くしながら後ずさりしていくが木に背中がぶつかり距離を詰められた。

ジー

「えっと…。」
これはこれで嬉しい展開だけどとウェンディはついつい考えてしまう。







「…好きだ。」








「え。」
一瞬の間をおいて、














「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!」
突然タクヤからの告白に頭の中がオーバーヒートを起こしてしまった。
「オレ、ずっと前からウェンディの事が好きだったんだ!!もうこの気持ちを抑える事なんてできねぇ!!!」

グイッ

タクヤはウェンディの肩を掴み徐々に顔を近づかせてきた。
「え、ちょ、ま、まだ心の準備が…!!!」
ウェンディも顔から湯気が出そうなほど顔を赤くしながらタクヤを押し退けようとする。
だが、腕に力が全く入らない。
「ウェンディ…。」
(「だ、ダメーーーー!!!!!」)
























パッカァーン




「え?」
突然、何かを弾いた音がした。その正体はおじいさんがタクヤを箒で叩いたものだった。

バタッ

「ったくのぅ。何発情しとるんじゃ、まったく。」
そこには依頼主であるおじいさんが立っていた。
「お、おじいさん。どうしてここに?」
「山に芝刈りに出てたんじゃよ。そしたらアンタらがいたから声をかけようとしたらこのありさまじゃ。
大方、毒きのこを食べたんじゃろ。」
「えっ、毒きのこ?」
ウェンディは数本匂いが違うきのこが依頼にあったものだろうと思っていた。
「だったら、さっき捨てたのは…。」
「おぉ!!あんな所に幻のきのこさあるじゃないか。」
おじいさんはタクヤたちが毒きのこだと思って捨てたきのこを見つけ大いに喜んだ。
「さすが妖精の尻尾の魔道士じゃなぁ!!こんなに見つけてきてくれるんなんて!!」

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