第十話 エックスSIDE5
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コラなんだよ?」
アクセル「……何だよその見るからに嫌そうな顔は?」
振り返った彼女の表情は、明らかに嫌そうだった。
眉間に皴を寄せて、目に見えて不平の意を表している。
けれど当然のことながら、この反応に彼が賛成を表明するわけもない。
こちらも軽くむくれた様子で反論を示す。
せっかく楽しみにしていたのに、さらりとかわされてしまったのだから。
しかも反撃つき。
ブーイングのように恨みがましげな視線を送ってみても、ちっとも彼女はこたえた風ではない。
ルナ「他のケーキはどうなんだ?ケーキ?他にも沢山あるぜ?」
アクセル「チョコレートケーキがいい」
ルナ「だから、他にも種類いっぱいあるだろが!!ロールケーキに、パウンドケーキに、シフォンケーキ」
アクセル「レアチーズ。ホットケーキもあるし、バターケーキもあるね」
ルナ「そうそう。ショートケーキ、フルーツケーキとか」
アクセル「バウムクーヘンも忘れないでね。ええと、それから…」
ルナ「ティラミス、ブラウニーとかな。ケーキは沢山あるぜ、さあ、何がいい?」
アクセル「粉砂糖がかかったチョコレートケーキ!!」
ルナ「どうしてそう頑ななんだよ!!」
アクセル「そっちこそ何でそんなに嫌がるのさ!!」
この後もしばらく、2人で口論を繰り広げて、結局アクセルが手伝いをするということで渋々彼女が折れた。
少しふくれたルナは嫌々ながらもしっかりチョコレートとバターを湯せんにかけている後ろで、希望の通ったアクセルが満面の笑みでにこにこしている。
しかしこのまま負けっぱなしでいるほど彼女は甘くはない。
ルナ「ほい、アクセル。これ頼む」
アクセル「卵白?ああ、メレンゲね」
渡されたボウルの中には卵白。
一緒に泡だて器もあるから、何をしろというのかは、言われなくても見るだけで予想はつく。
とてもご機嫌な彼はそのお手伝い要請を断るわけもなく、快く引き受けると、かき混ぜ始める。
小気味良い音を聞きながらルナはアクセルにくるりと背を向け、別の作業に取り掛かる。
アクセル「…ねえ、ルナ?」
ルナ「ん?」
アクセル「まだ泡立てるの?」
ルナ「どれどれえ?」
彼女がアクセルの差し出したボウルを見る。
ルナ「ああ、まだまだだな」
アクセル「…腕が痛くなってきたよ…」
ルナ「ハンドミキサーはただいま修理中でーす」
アクセル「…僕が悪かったです……」
ルナ「よろしい♪」
いくら体力のある彼でも、長時間の慣れない動きで、すっかり手首の感覚がなくなって
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