第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
25.July・Afternoon:『Philadelphia experiment』
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もうバスの扉が閉まっている。それを見た黒子は、舌打ちながら。
「こうなったら……あれしかありませんの」
「分かってる、黒子ちゃん……俺が車道に飛び出して101回目のプロポ」
「あの、嚆矢、先輩……はふ、もう、白井さん、けほっ、居ません……よぉ……!」
そこまで言った時には、もう黒子の姿はない。何の事はない、空間移動でバスに到達、運転手に待って貰うよう交渉しているだけだ。
──いやぁ、便利だなぁ、空間移動……いつかウチの時空粘塊にも、それくらい出来るようになって欲しいねぇ。
『てけり・り。てけり・り?』
(別に呼んでねぇから。一般人の前で出てくんな、引っ込んでろ)
『てけり・り……』
思念に反応してか、血涙を流す寝惚け眼一つを浮かばせた影が一瞬沸き立つ。テレパシーで繋がるそれを思念で叱る。影は、寝落ちするように平面に還った。
因みに、手を引かれて息急ききらせながら走っていた飾利には、それは目に入らなかったらしい。
「ふう、セーフ……助かったわ、黒子」
「いえいえ、お姉様のためですもの」
「いやぁ、久々に全力疾走したな。クーラー効いてて極楽極楽」
「は、はひぃ……はふぅ……はへぇ……」
汗を拭いながら座席に座り、行く先を確認する。この先二つ目で飾利が、その先で自分が降りる事になる。美琴と黒子は、その五つ先。
「大丈夫ですの、初春……あら?」
「初春さん、大丈夫……って、あれ?」
「ふえぇ……へ、な、何ですかぁ?」
前の席の美琴と黒子の微笑みに、隣の飾利を。限界近く走った為にまだ荒い息の、開けた窓から新鮮な空気を吸おうとしている彼女を見遣った。
すると、すぐに二人が微笑んだ理由が分かる。その、彼女の特徴である花瓶のような髪飾り。そこに、鮮やかな蝶が一匹、留まっていたのだ。
「ちょっと動かないでくださいまし……まあ?」
「どうしたのよ、黒子……って、ええ?」
その蝶の羽を、そっと持つ黒子。勿論、美琴では逃げてしまうだけだから。
その黒子が、今度は驚いた顔を。続いて、美琴も。瞳を輝かせて。
「この蝶……千代紙ですの」
成る程、それは千代紙で折られた鮮やかな『蝶』だ。しかし、まるで生きているかのように、翅をバタつかせている。
思わず黒子が手を離せば、ひらりひらりと宙を舞い……再び、飾利の頭へ。
「うわぁ……可愛いですねぇ」
「これも、何かの能力なのでしょうか?」
「『念動能力』……ううん、『流体反発』? こんなに精密な動かし方は、何か専門的な能力かも?」
飾利はその蝶を愛でるように見、黒子と美琴はその能力が何かを解
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