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Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
25.July・Afternoon:『Philadelphia experiment』
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、マネーカード。恐らくは総動員らしい。

──まぁ、仕方無いか。元々そうする気だったし、付き合って貰ってる訳だし。

 カウンターの近く、邪魔にならない位置で舶来品の雑貨を見て暇を潰す事にする。干支や、良く判らない動物など。様々なものを見て。カウンター奥から、此方を見る太々の視線を感じる。海のように深い、深意を探れない眼差しを。
 頭を下げれば、微笑みながら下げ返してくる。涼やかな目元だけで、口は扇子で隠したままで。

 だから、嚆矢には分からない。今まで、『聞こえていた声』の出所が、何処だったのか。
 果たして、幾ら顔を寄せたからといって『扇子の向こう側』からの囁き声が、少女達の声に溢れた此処で()()()()()()()()()()()()()、とか。

「お待たせしましたの」
「おぅ、黒子ちゃん」

 そこに丁度帰ってきた、黒子に意識を向けた為に。首尾良く第二段階を完了、第三段階へ。

「わたくしの好みで良いとのことでしたので、本当にわたくしの好みで選びましたの。本当によろしいのですの?」
「ああ、良いんだ……」

 見れば、赤い更紗(サラサ)のリボン。箱入りの、諭吉さんが英世さんと式部さんに変わるお高めの奴だ。流石は常盤台の学生、身に付ける品一つとってもお嬢様であらせられる。
 宜しい、やはり総力戦だ。総火の玉だ。神風アタックである。これを攻略しない事には、最終段階には進めない。

「じゃあ、これ下さい」
「あらあら、まぁ……うふふ、若いわね」
「ちょ、先輩……そんな、吟味もせずだなんて妹さんに失礼ですの!」

 何かに気付いたらしい太々が、リボンと現金を受け取る。それを手早く『()()()()』にラッピングし、嚆矢に手渡して。

「はい、黒子ちゃん」
「……え?」

 そして、最終段階。リボンを受け取った彼はそれを、徐に黒子へと差し出した。
 差し出されたリボンの入った包み、それを彼女は、ぱちくりと見詰めて。

「……は、嵌めましたのね。最初から、このつもりでお姉さまを出汁(だし)に」
「いやいや、妹の誕生日が近いのは本当。けど、まぁ、嵌めはしたかな。こうでもしなきゃ、受け取ってくれなさそうだし」

 そう、昨日の礼。リボンを駄目にしてしまった事に対して。ハンカチは……リボンの値段の高さに目を回した事から勘弁して欲しい。
 ただ、普通に渡しても受け取るまい。その為の、三文芝居。美琴と太々にはあっさりと見破られた程度の。

「……お姉さまが賛同したのでしたら、仕方ありませんの。お姉さまのお顔に、泥を塗る訳にはいきませんもの」

 そして、『美琴が知っている事』が肝要
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