第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
25.July・Afternoon:『Philadelphia experiment』
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る程、女生徒ばかり。一人で来ようものなら、即座に脱兎するところだっただろう。
「?好……あら、これは珍しい」
鈴の音を聴いた店員らしき女性……波の模様の藍色のチャイナドレスに肢体を包む、老亀や双魚の柄の黒い扇子で口許を隠した、艶やかな女性が此方を見た。
そして、目だけしか見えないが……確かに、穏やかに微笑んで。
「?迎光?、素敵な貴方。どこかのお大尽かしら、可愛らしい女の子を三人も連れて……悪い人ね」
「いやぁ」
「『いやぁ』じゃありませんの。断じてそう言うものではありませんから、お気遣いなく」
結い上げた美しい黒髪の妖艶な笑顔と仕草で、小波の潮騒のような、睦言を囁くように美しい顔を寄せてきた女性。百合の花のように清楚な雰囲気でありながら、牡丹の花のように目を奪われる。
黒子の反駁にも、『あらあら』と微笑みを返すだけ。如何にも、『大人の女性』である。その、蠱惑的な体つき的にも。
「そう、妹さんのお誕生日祝いを。優しいお兄さんだこと」
「気紛れですよ、気紛れ」
流石に気恥ずかしくなる。この店の太々、『海 藍玉』と名乗った女性の誉めそやしに。
周囲の女生徒達からの目線もある。あまり、時間は掛けずにいきたいものだ。
「と、とにかく、参考までに飾利ちゃんは髪飾り、黒子ちゃんはリボンを。御坂は……適当に雑貨を見繕ってくれないか? 三人が欲しいもので傾向を掴むから、持ってきてみてくれ」
「あ、はい!」
「あまり意味はない気がしますけれど……」
言われ、飾利と黒子はアクセサリーを見繕いに行く。第一段階はクリア、第二段階に移行……という段で。
「へー、ほー、ふーん……成る程」
何やら、頭上に……彼女の電圧ではフィラメントが弾け飛ぶだけだろうが……電球でも点きそうな。
──くっ、流石は『頭良すぎて頭おかしい』と言われる超能力者の一人、御坂美琴……あれだけで、バレたのか?
そんな風に此方を見遣る、美琴が映った。不味いと、本能が警鐘を鳴らす。
「……な、何かな、御坂さん? そんなに見詰めて……駄目だぜ、オイラに惚れちゃあ火傷」
「無いです。あぁ、でも、対馬さんのそう言う律儀なトコは嫌いじゃないですけどね」
軽口を、軽くぶった切られた。『これが御坂美琴の砂鉄剣か』、等と無意味な事を考えて。
「……御坂。何か、欲しいものとか無いか?」
「えー、じゃあ、私じゃなくて対馬さんの妹さんが欲しいものとか」
「オーケー、好きなもん持ってこい」
「さっすがぁ、話分かる〜」
溜め息混じりに首是した嚆矢を尻目に、ルンルンとばかりに美琴が店奥へ消えていく。
取り出した財布
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