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Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
25.July・Afternoon:『Philadelphia experiment』
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 弟子達に命じた結界、その構築完了までの残りは、あと少し。狙いは、既に絞っている。しかし、一人になるまで待つのも難しい
 また、『魔に属する者』が獲物と関わった。今はまだ、『顕現段階(アクチュアリー)』だが……あの獲物はいつ『次の階位』に登っても可笑しくはない。一刻も早く殺さなくては、均衡が破れる。

「……未来ある若人を、しかも、あんな小娘共となると些か気は重いが」

 だが、だが。それと差し引いても、あれは滅ぼさねばならぬ。そうしなければ、目覚めてしまう。
 人類初の殺人者となった『カインの末裔(ヴァンパイア)』にして、『神仏の敵(第六魔王)』を背後に立たせるやも知れぬ、『虚空の月(双子の蕃神)』に見詰められし、その男────“土星の円環の魔導師(マスター・オブ・サイクラノーシュ)”の弟子である、その男は。

「クソッタレ、だな────全く。バカみてぇに盛りやがって。蕃神(外なる神)は、そんなに暇なのかねェ」

 嘲るように笑って、葉巻を緑の雷光で一瞬にして焼き尽くして。取り出したる魔書、背後の虚空から。さながら手記の如き、薄く小さい。
 しかし、しかし。その正体を知りうる者であれば誰もが震えよう。既に、周囲の空気すらもが発狂するように呪わしく震え、緑色の雷気に満たされている。

「この程度の不幸なら、世界中に転がってる。死は、すぐ其処に。狂気の戸口と同じ、狂える神々と同じ……何時だって手ぐすね引いて、舌舐めずりして待ってやがるんだ」

 それこそは、()()()()。比類なき魔導書の一角、かの『死霊秘法(ネクロノミコン)』と並ぶ、或いはその先を行く『写本』の一部。
 そうであると、『この世界の法則』では貶められたもの。彼自身が見聞きした、呪われた記憶の残滓。

「奴らを落胆させられるなら、無意味じゃねぇよ。なぁ────」

 呟いた言葉を、全身から立ち上る緑の稲妻と雷鳴が掻き消す。時間迄にその身に、細胞の一つ一つにまでに行き渡らせようとでもしているかのように。
 男────“牡牛座第四星の教授(プロフェッサー・オブ・セラエノ)”は、虚空を睨む…………。


………………
…………
……


 明日、退院予定となった涙子に別れを告げて。ほぼ毎日更新している真夏日の中、辿り着いた場所は……。

「『舶来雑貨 紅樓夢』……雑貨屋ですの?」
「ああ、そう。実はさ、妹の誕生日が近くて……けど、年頃の女の子に贈るものなんて想像つかないから、同い年くらいの意見を聞きたくて」

 赤や金を多用した、如何にも中華風な外観のその店。しかし、事前のリサーチでは……某知恵袋で聞いたところ、最近一押しのアクセサリーショップとの事。
 鈴のついた扉を開けて中に入れば、成
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