土下座の前に・・・
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た。奇跡はここでおしまいして、手打ちもいいんですけどね」
「その発言は聞かなかったことにする・・・だが敵さんはともかく、上はどう判断してるのやら・・・?!」
遠くから響く何か重低音・・・
「報告・・・!」
小声で通信兵が来る
「野戦空軍基地、及び防空レーダーが破壊されました。出撃準備中の戦闘機部隊との連絡途絶」
「な・・・全周警戒、夜襲に気をつけろ!」
一瞬の絶句の後、すぐに命令を下すベルツに呼応し、実包を用意する部下たち、そこにまた通信兵が
「28警戒陣地に夜襲!さらに本部にも浸透部隊が・・・エルジアの精鋭で・・・」
慌てて声を出した通信兵、その言葉は音よりも速い銃弾により頭を打ちぬかれて倒れる。
「うわっ!!」
「ばかっ!撃つな!」
ダドルの言葉むなしく、銃の発射した時の光に向かって撃ってしまう兵士。彼はこの小隊では新人のほうだ。
これで敵に完全に位置が悟られた。相手が精鋭なら尚更だ
「無闇に反撃するな!闇夜に紛れて後退する。駆け足!」
通信機を別の兵士に持たせ、古参の軍曹がどやしながら何とか散らさずに逃げる。
「エルジアは後方を気付かせずに攻撃した、一体どうやって?」
「ステルス戦闘機か?空は良く分からん」
だが、嫌な予感がする。
「通信、敵の動向を・・・」
「隊長!そらからっ!」
言い切る前に次の地獄が始まる。突っ込んでくる幾重の矢、その音はやがて地面に突き刺さり紅い華を咲かせる。その爆風は小隊も包み、一部は飛んでいく。
「爆撃機か!」
「敵の精鋭が地点を教えたのでしょう!警戒陣地と本部の方に刺さってます!」
「クソッタレ!」
ダドルの冷静な分析にベルツが悪態をつく。絶望というのは更に絶望を呼ぶ
「首都の市民軍とエルジアが戦闘状態に!同時に多方面からエルジア地上軍が?!」
通信からの絶叫、闇夜に紛れて進軍したのは味方だけじゃなかった、エルジアは後方の大規模防衛戦に回そうとしていた地上軍を彼らの側面や、首都に呼び戻したのだ。縦深防御をやめ、ここで敵を仕留める方向にシフトしたのだ。
「このままでは包囲されるな・・・ダドル曹長」
「はっ」
ベルツはダドルに向き
「逃げるぞ」
「逃げますか」
「ここは足掻いて逃げて、それでもだめなら降伏するしかないな。残念ながら後方の時間稼ぎとか、小心者の自分では考えられなくてね」
ベルツが言い切る。ダドルはため息を吐き
「勝ち戦が一転地獄になりましたなぁ」
「まったくだ・・・・小隊退却!味方本陣まで走り抜けるぞ!!」
「おうっ!!」
小隊は嵐の中を駆け抜ける。
そして、ベルツたちの小隊は何とか地獄から10名ほどおいていきながらも帰ることに成功するが、待っていたのは前線の悲惨な結果であった。
この戦闘においての犠牲者は、大陸戦争開戦以来では4番目
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