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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
神意の祭典篇
39.敗北の味
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たから動かなかった。知らなかったから救えなかった。知らなかったから護れなかった。罪とはそういうことだ。
彩斗は知らない。しかし自分のせいで古城が襲われたのは明確な事実だ。
「とりあえず飯にしようぜ、夏音」
彩斗はまだ残る痛みに耐えながらもキッチンへと向かおうとする。
「彩斗さん……」
「俺は大丈夫だよ、夏音」
心配そうにしている夏音の頭に手をおいて撫でる。柔らかな髪の感触といい匂いが鼻腔を刺激する。
「さ、彩斗さん……そ、その、そろそろ……」
透けるような白い肌が真っ赤に染まっていく。
そこで彩斗は自分が今していることに激しく狼狽える。
「い、いや、そ、その……こ、これは……」
「は、はい。私も嫌ではないので、だ、大丈夫でした」
夏音がさらに顔を真っ赤に染めてから指先がゴニョゴニョと動きだす。
(か、可愛い! なにこれ、今すぐ抱きしめたいくらい可愛い)
こんな光景を見て可愛いと思わない人間なんていないだろう。こんな光景を中等部の男子たちにでも見られれば彩斗に殴りかかってくること間違いない。
「いつまでイチャイチャしておる。早く晩飯にするぞ」
「イチャイチャなんてしてねぇよ!」
いつもの日常がわずかに戻ったような気がして彩斗は安堵するのだった。
しかしまだ始まりにしか過ぎなかった。神々が集いし、人ならざる者たちの祭典──“神意の祭典”の幕開けまでの……
翌日。彩斗は朝陽が昇る前に眼を覚ました。吸血鬼としては珍しいことではない。正直いえば腹部の痛みのせいで一睡もすることができなかったというのが真実だ。
隣では夏音とニーナが可愛らしい寝息を立てている。そんな顔を見るだけで彩斗が受けた傷など忘れることができる。
彩斗は寝ている夏音の頭を撫でる。
「必ず帰ってくるからな、夏音」
不器用な笑みを浮かべて二度ほど撫でたのちに彩斗はいつものように部屋の隅にかけられた制服を手に持ち部屋を後にする。
「どこに行く気だ、彩斗?」
不意に後方から聞こえてきた声に彩斗は動きを止める。
「起きてたのかよ、ニーナ」
「まあのう。
主
(
ヌシ
)
の考えを読めぬ
妾
(
ワシ
)
だと思ったか」
「わかってても見逃してくれるのが大人の対応ってやつじゃねぇか」
「
主
(
ヌシ
)
が思っているほど
妾
(
ワシ
)
は大人ではないのでな」
ニーナの目的はわかっている。彩斗を止める気なのだろう。彩斗と古城をあそこまで痛めつけた相手に完全に傷が癒ていない状態で勝つことなど出来ないであろう。そのことをニーナはわかっているのだ。だからこそ行かせたくないのであろう。
「……そうか」
素直に嬉しかった。それでも彩斗
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