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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
神意の祭典篇
39.敗北の味
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トラーは重い口調だった。確かに金髪の少年と戦って今の古城や彩斗では勝つことは出来ないとわかりきっている。
「それじゃあボクはそろそろ帰るとするヨ」
ヴァトラーは恭しい深い礼をし、霧に変じて姿を消した。
残されたのは、破壊された建物と傷だらけの二人の吸血鬼とその監視者たちだけだ。
空を見上げるといつのまにか暗雲が立ちこめていた。そろそろ天気が崩れそうな気がする。
しかし古城たちは動くことが出来なかった。今まで受けたことのない圧倒的な敗北感のせいで……
彩斗たちは無言のままアイランド・サウスの自宅があるマンションへと帰っていく。彩斗たちは謎の女のことを、古城たちは交戦した吸血鬼のことを話すべきだったのだろうが過度の疲労でそんなことを語り合える気力さえない。
暗黙の了解でもしたように彩斗たちは明日、このことを話すことにし、それぞれの部屋へと帰っていった。
彩斗は一度扉の前で息を整えてから鍵を開けて自宅へと帰る。
「た、ただいま」
言葉を発しただけでも腹部に激痛が走る。それを必死に堪えて靴を脱いでリビングへと侵入する。
「彩斗さん、大丈夫でしたか!?」
リビングに入るとともに銀髪の少女が心配そうにこちらへと駆け寄ってくる。
「悪ぃな夏音、遅くなって……古城たちに手伝わされたんだ」
必死で痛みに堪えながら平然を装う。
「無理しなくても良いわ、
主
(
ヌシ
)
になにが起きたかぐらいはだいたいわかっておる」
そう言って夏音の腕の中にいた身長三十センチほどの人形が動きだした。かつてニーナ・アデラードと呼ばれていた古の第錬金術師はそんなサイズになっても健在らしい。
「
妾
(
ワレ
)
を誰だと思っておる。大錬金術師ニーナ・アデラードだぞ。あれほどの魔力の塊に気づかぬわけないだろう」
「てっきりただのペットだと思ってたからな」
彩斗は不敵な笑みを浮かべるがニーナが不機嫌そうな顔をしたかと思うと彩斗の腹部めがけて突進してくる。直撃した腹部にとんでもない激痛が走り、彩斗はその場に崩れ落ちる。
「彩斗さん!」
夏音が慌てて彩斗のそばへと駆け寄る。
「に、ニーナ……今は、洒落にならねぇ、から……」
「
主
(
ヌシ
)
の自業自得であろう」
ペット扱いされたのがよほど気に障ったのかニーナは不愉快そうな顔をしている。
「しかし、彩斗がそこまでやられてくるとは、相手は何者だ?」
彩斗は苦痛に耐えながら起き上がり、ニーナの問いに思案してから一つの答えを出す。
「……さぁな、知らねぇよ」
本当に知らない。そう、彩斗は知らないのだ。なぜ自分が狙われたのかも、古城が狙われたのかも、何もかも知らないのだ。無知とは罪だ。知らなかっ
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