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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
神意の祭典篇
39.敗北の味
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ろんな意味で危ない存在だ。吸血鬼としても、性格としてもだ。
「古城!」
闇の向こうから息の切れたような声が聞こえてくる。その正体は、ボロボロの彩海学園の制服を着ている少年だった。
「彩斗!」
相当走ってきたのか肩で息をしている。それよりも彼の身体の至る所に傷があることに目がいってしまう。
彩斗は古城よりも先に帰って行ったはずだ。なぜ、マンションとは逆方向から現れたのかがわからない。
「大丈夫か、古城」
途切れ途切れの声で彩斗が訊いてくる。
「俺よりもおまえのほうが大丈夫なのかよ!?」
ああ、と力なく笑う彩斗。明らかに無理しているのが伝わってくる。すると彩斗の後方から少女の叫ぶ声がした。
「彩斗君!」
黒いギターケースを背負った友妃が彩斗の元へと駆け寄る。
「……逢崎」
友妃の名を呼ぶとともに彩斗の身体は膝から崩れ落ちていく。地面に倒れそうになる彩斗の身体を友妃がなんとか支える。
「わ、悪りぃな、逢崎。ちょっと無理しすぎたわ」
「本当だよ! もうバカバカ!」
友妃の目から大粒の涙が零れる。
「バカとはなんだバカとは」
彩斗は不器用に友妃に笑いかける。そして彼の視線は彼女からヴァトラーへ移される。
数秒間の沈黙の後に彩斗が口を開いた。
「まさかテメェが古城を助けるとは思わなかったぜ、ヴァトラー」
「いやいや、当然だよ。古城にはこんなところで死なれては困るからネ」
ヴァトラーはわずかに笑みを浮かべる。そして急に真剣な顔になり彩斗を睨みつける。
「あれが真のキミの力なんだね、彩斗」
「………」
彩斗は答えない。それがなにを意味しているかは金髪の少年の攻撃を受けた古城にはわかっていた。彼が使用した蛇を操る女性の正体は、“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”が従えている眷獣の一体だ。彩斗からなんらかの方法で奪っていったものだ。あれが“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”の本気だとするなら彩斗は今まで手加減していたもしくは、力を完全に使いこなせていないことになる。
ちっ、と舌打ちをし彩斗は重く閉ざされた口を開いた。
「違ぇ、あれはあの野郎が──グッァ!」
彩斗は突然頭を押さえて苦しみだした。
「彩斗!」
「緒河先輩!」
「彩斗君!」
古城と雪菜、友妃が彩斗の名を叫ぶ。その反応は、フェリーの甲板で金髪の少年から銀色のメスのようなものを見せられた時と同じだ。過去のことを思い出そうとした古城が起こす反応に酷似していた。
「まぁいいさ。キミもボクの大事な人だ。だから彼とは戦うんじゃない。今の彩斗では彼には勝てない。もちろん古城、キミもだ」
いつもの軽い口調ではなくヴァ
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