第7話〜商人たちの実情〜
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合わせる。
「この時代で、貴族と平民が手を取り合って歩いていける。
そんな道を模索しているんじゃないのかな・・・まぁ、ユートピアに過ぎないよ」
「ふむ・・・?そういった発想は無かったな。だが、貴族・平民のしがらみが皆無のこの
クラスにおいては正論だろう」
「半月考えてやっと出せた答えだけどな。マキアスとユーシスの関係が、今の時代を象徴しているのかもしれない・・・けど、志望理由は各々違うと思うんだ」
そしてトークは、士官学院の志望理由へとシフトする。ラウラは目標としている人物に近づくため、実家と上手くいっていないらしいアリサは自立したかったから、エリオットに至っては元々音楽系の進路を志望していたらしい。そこまで本気じゃなかったけどと付け加え、リィンやケインの志望理由を訊いてきた。リィンは自分を見つけるためらしい。必然的にラストになったケインに、他の全員の視線が集まる。
「目的を果たすためだ。たとえそれが修羅の道であっても、俺は決して歩みを止めない」
「ケインの目的?そんなに強いのに、難しい事なのか?」
「強くなんかない!・・・ないんだよ。弱い部分がまだ、たくさん残っているんだ。
大切なものを失い、全てを捨ててきた俺には、一生克服できないのかもしれない。
でも、それでも俺は、その目的を果たすつもりだよ・・・何を犠牲にしても」
ケインがここまで感情を露わにして語るのを4人は初めて見たようだ。ケインは、目には確かな意志の炎が宿っているものの、運命に縛られた哀れな人形のようだった。
漠然とした重い空気の中、リィンがそろそろレポートを書こうと提案する。
全員が2階に向かおうとしたところで、ラウラは、リィンにどうして本気を出さないかと尋ねる。彼女は実習中、彼の方を見てはいわくありたげな表情だった。リィンは、<<剣仙>>ユン・カ−ファイに、東方剣術の集大成である<<八葉一刀流>>を習っていたが、剣の道に限界を感じて修行を打ち切られた初伝止まりの剣士であるらしい。だからこれが自分の限界だ、と。リィンの話を聞いたラウラは、「いい稽古相手が見付かったと思ったのだがな」とだけ呟き、外で素振りをしてくると言い残して宿を出た。街道に出て一心不乱に剣の素振りをするラウラ。いつの間にか、ケインも街道におり、彼女の素振りが一区切りついたところで話しかけた。
「さすが、ラウラは向上心が高いよな」
「ケイン。どうしてここへ?」
「君が心配だったから。それ以外の理由はないよ」
「そうか・・・」
月明かりに照らされたラウラの微笑に、図らずも見とれてしまうケイン。
「?どうしたのだ?」
「・・・な、何でもないよ」
怪訝な顔をするラウラからいったん顔を逸らしておいて、「俺で良ければ相談にのる
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