第7話〜商人たちの実情〜
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ぬのだが」
領内における商売の管理は、領主の義務。つまり、許可書の発行ミスは必然的に領主の落ち度となる。確かに納得がいかないことだ。その疑問をある程度は予想していたのかオットーさんが説明してくれる。話によると、商売管理は帝国東部を治める四大名門が一角のアルバレア公爵が行っているそうだ。ユーシスの父である。しかし、問題は別にあり、先日、大市の売上税が大幅に上昇して売り上げからかなりの割合を納めなければならないこと。これにより、商人らで喧嘩沙汰のトラブルになることも少なくないらしい。場所代もかかるのにそれがパーになりかねないさっきのような状況はどんな商人たちも躍起にさせるだろう。殴り合いはよろしくないが。
これを見かねたオットーさんは、公爵家へ何度も陳情に行ったらしいが結果は門前払い。そんな状況が約二ヶ月続いているとのこと。各地の治安維持を担う領邦軍は、増税の陳情を取り消さない限り大市の問題等には不干渉を貫くらしい。
(革新派と貴族派の対立は水面下で激化している。あの男やアルバレア公爵家は貴族制度の
思想が強い。ここでお金を欲するのは軍資金の為か?・・・ここまでやるのかよ)
オットーさんはこれは商人の問題で客人が気にすることではないから実習に集中することではないと告げ、歯がゆい思いを感じつつも一同は彼の家を出た。
駅前の広場でなんとかならないかと議論を交わしているとサラ教官がやって来た。
B班の方がグダグダになっているらしく、今からフォローしに行くのだとか。
「そういうわけでこちらは君たちに任せたわ。
せいぜい悩んで、何をすべきか自分たちで考えてみなさい」
こちらの状況を理解していたかのようにそう言った教官は、
最後に「女神の加護を。レポート、期待してるわよ」と付け加えて駅の方へ去って行った。
何にせよ、今日は多くを知り、多くを学んだ。レポートを取るためにも夕食は早めに取る必要がある。
「今ごろB班のエマたちはどうしてるのかしら・・・?」
宿に戻り、地の物の料理に舌鼓を打った後、B班の様子を気にかけるアリサがそんな事を口にした。
「そうだな・・・こんな風に一緒にテーブルを囲んではいなさそうだけど。
ケインはマキアスとは友人同士、だったよな?その、何とかできないのか?」
「ああ、確かに俺と彼は友人だ。でも・・・いや、だからこそ、かな。
俺はマキアスに、自身の力で乗り越えて欲しいんだよ」
「そうか・・・」
「まぁ、この前、その話をしたら『むっ、君はあの男の肩を持つのか?』って
へそを曲げられちゃったんだけどさ」
肩をすくめながらそういうケイン。友人だから彼もあまり強くは言えないのだろうとリィンは思った。
今度はエリオットが、どうしてZ組が設立されたのかに話の焦点を
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