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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
第134話 桃香の再就職 後編
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は全然期待できないんだもの」

 桃香は涙目で正宗に縋るように見つめてきた。

「私が賊討伐を行なっても、その成果は県令であるお前のものになるのだぞ。何故、私がお前の成果のために働かなければならない。条件は飲んでもらうぞ」

 正宗は桃香の様子に一瞬たじろぐが心を鬼にして言った。桃香は正宗の言葉を聞き、脱力したように肩を落とす。

「劉将軍、よろしいでしょうか?」

 意気消沈した桃香を余所に環菜が割り込んできた。

「何だ?」

 正宗は環菜を訝しんだ。

「劉将軍、臨穎県の窮状をお察しください。無い袖は振れません」

 環菜の開き直りとも取れる態度に冥琳は険しい表情で環菜を睨みつけた。

「話は最後までお聞きください。条件を飲まないとは申しません。ただ、臨穎県の負担を軽減していただきたいのです。勿論、お願いする賊の討伐の内容も多くを望みません」

 環菜が正宗に提案した内容は、

 一つ、正宗は臨穎県の治所に二週間滞在する。この間に環菜は正宗が臨穎県に滞在していることを臨穎県の周辺の県と大守の行政府のある街に噂を流す。
 一つ、正宗旗下の軍は勢力の一番大きい賊を討伐する。討伐後は盛大に臨穎県の周辺の県と大守の行政府のある街に噂を流す。
 一つ、正宗が大守宛に臨穎県の治安安定の助勢ため軍を派遣するように依頼する手紙を書き、正宗配下の者の手で届けさせる。手紙を届けた後、大守の行政府のある街に噂を流す。

だった。

「環菜、質問してもいいか?」
「なんなりとお聞きください」
「お前の提案内容だが、何故行動毎に噂を流すのだ。そもそも、この噂の内容は何だ」

 正宗は本能的に嫌な予感を感じたのか環菜をジト目で凝視していた。

「劉将軍の名声と武威を利用させていただきます」
「どのような噂を流すのかと聞いている」
「劉将軍と桃香様がご友人であると流すだけです」

 正宗は露骨に嫌そうな表情を顔をした。

「環菜、お前の案であれば我が軍の負担は小さくなる。しかし、この案だと桃香の利が大き過ぎるだろう」
「車騎将軍であり、冀州牧であられる正宗様と劉県令が『友人』などと潁川郡中に噂を流せば大守と郡尉は劉県令への便宜を計ろうとするのは目に見えている。正宗様が去った後も、その効果は消えることはない。何故、正宗様がそこまで劉県令に骨を折らねばならない!」

 冥琳は鬼気迫る険しい表情で環菜に文句を言った。環菜は冥琳は凄まじい剣幕にたじろいだ。

「桃香様は劉将軍より受けた大恩をいずれ必ずやお返しなさります。どうか桃香様の窮地をご助勢くださいますようによろしくお願いいたします」

 環菜は椅子から折り地べたに這いつくばり頭を地面に擦り付け土下座し正宗に懇願した。その行動に正宗達は一
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