第百七十九話 集まる者達その六
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「徳川の者達の食いっぷりも見せてやるのじゃ」
「ですな、食うのも武士の誉れ」
「それを見せるのも」
「そういうことじゃ、ではな」
こうしたことを話してだった、酒井は黄色の衣の同輩達と共に話をしたのだった。そしてその中でだった。
ふとだ、本多正信が一同にこんなことを言ってきたのだった。
「さて、それはそうとしまして」
「むっ、本多殿何か」
「何かあり申すか」
「はい、どうもこの安土城はです」
彼がいうのはこの城自体のことだった。
「様々な神仏がいますな」
「そういえば神仏の絵がですな」
「多いですな」
「麩といい屏風といい」
「あちこちに書かれておりますな」
「しかもです」
本多はこのことについても指摘した。
「石垣ですな」
「ああ、石垣もですな」
「何かが違いますな」
「どうにも」
「石垣の中にです」
まさにというのだ。
「地蔵尊があり墓石があります」
「その墓石ですが」
榊原がそのことについて本多に問うた。
「罰が当たるのではと」
「そう思われるのですな」
「そこは違いますか」
「いえ、墓石にも御仏の力が宿っております」
「それでは」
「はい、その御仏の力にです」
それにと言う本多だった。
「葬られていた者の魂の力もです」
「含ませておりますか」
「この城は山自体を城とし幾重もの壁と石垣、櫓に囲まれていますが」
「その守りが固いだけでなく」
「そうです」
まさにというのだ。
「そうした守りもです」
「神仏、霊魂の守りもですな」
「固いです」
「そうした城ですな」
「あの天主はその中でも」
「最もですか」
「まさに神仏が集まった」
それこそ、というのだ。
「悪しき者を寄せつけぬものです」
「都に東から入る悪しき者をですか」
「防ぐものかと」
それになっているというのだ。
「あの城は」
「左様でしたか」
「はい、右大臣殿はそこまでお考えなのでしょう」
「神仏を信じられぬと言われてもいますが」
「どうやら違う様ですな」
それは、と言う本多だった。
「どうやら」
「ではそれは噂でしたか」
「右大臣殿も神仏を否定されていませんが」
それでもだというのだ。
「ただ、頼まれぬ」
「ご自身では」
「はい、そうした方かと」
「しかし国家の守護にはですか」
「ご自身は頼まれませぬが」
そもそも織田家は越前の神主からはじまっている、神の存在を認めぬというのは自分達の出自も認めないことになる。
信長もそれはしない、しかし頼むことはしないというのだ。これは己の力でことを進める信長ならではの考えだ。
「国にはです」
「守護を頼まれ」
「この城もです」
「神仏を集められましたか」
「耶蘇教もありますな」
その神
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