第百七十九話 集まる者達その一
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第百七十九話 集まる者達
荒木は安土城の厨房に古田と共にいた、そこにいてだった。
そこにあるあらゆる食材を見てだ、唸る様にして言ったのだった。
「何とまあ」
「驚く他ありませんな」
「全くじゃ」
こう言うのだった。
「これだけのものが揃うとは」
「鮑や鱧にです」
「うむ、その他にもな」
「鴨に自然薯にです」
「他にも色々とあるな」
「海のものも山のものも」
「あらゆるものが揃っておる」
しかもそのどれもがだ。
「質がよいものがな」
「しかも美味、珍味なるものが」
「これでもかとあるな」
「その中にはです」
古田がここで出したものとは。
「蘇や酪、醍醐も」
「牛の乳から作ったものじゃな」
「それもあります」
「ふむ、それはまたのう」
そうしたものを聞いてもだった、荒木は唸った。
「凄いのう」
「そうしたものは明智殿が用意してくれました」
「明智殿がか」
「はい、あの方がです」
「左様か、流石と言うべきか」
「明智殿ならではですな」
「ここにあるものもです」
その山海の珍味達もだというのだ。
「明智殿が手配してくれたものです」
「お見事じゃな」
「こうしたことは当家では林殿ですな」
「あの方もこうしたことは得意じゃからな」
だから織田家でも重臣として名を馳せているのだ、林は戦よりも政の者でありそれでこうしたことも得意なのだ。
しかしだ、その林は今はなのだ。
「林殿は朝廷から公卿の方々をお招きしておられる」
「はい、ですからこの度はです」
「明智殿がこのお役目を仰せつかってじゃな」
「それがし達はその明智殿と共に」
働くことになっているのだ、信長が命じた通りだ。
しかしだ、古田はこう言うのだった。
「それがしがしたのは菓子や果実の手配でして」
「わしは川じゃ」
「その他のことはですな」
「うむ、明智殿がな」
「斎藤殿と秀満殿と共に」
彼の下につけられているこの二人の者達と共にというのだ。
「手配してくれました」
「お見事であるな」
「全くです」
「しかもな」
それでいてだとだ、今度は荒木が言った。
「我等に花も持たせてくれておる」
「料理の手配は我等の受け持ちになっておりますし」
「そうした気遣いもしてくれるとは」
「明智殿はよき方ですな」
「あの方ならばな」
明智なら、と言うのだった。
「より凄くなれるな」
「全くですな、織田家の重臣にですな」
「なられておるが」
「今や織田家四天王の一人」
「それだけの方になられておるがな」
まだ凄くなるというのだ、明智は。
「素晴らしき方じゃ」
「全く以て」
「さて、ではな」
ここでだ、こう言った荒木だった。今度言うこ
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