第二十三話 明るい日常その五
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「お蕎麦も」
「お蕎麦ですね」
桜はたぬきそばを食べている、それで言うのだ。
「今私はたぬきそばを食べていますが」
「たぬきそばね、確かね」
向日葵はその桜にも言った。
「関西じゃ揚げを入れてるけれど」
「地域によって違いますよね」
「天かす入れたりする地域もあるのよね」
「それをたぬきそばという地域もありますよ」
そうだとだ、桜は微笑みながら向日葵に話した。
「きつねうどんは同じですけれど」
「お揚げね」
「それが入っているおうどんがきつねうどんです」
「たぬきうどんもあるのよね」
「地域によっては」
「大阪にはないのよね」
大阪にあるものはきつねうどんとたぬきそばだ、たぬきうどんやきつねそばといったものは存在しないのである。
「京都にはあるけれど」
「京都のたぬきうどんってあれよね」
菊が言う、そのたぬきうどんについて。
「あんかけなのよね」
「あれよね」
「たぬきうどんね」
それはと言う向日葵だった。
「どうも馴染みがないのよね」
「それは仕方ないわよ」
菊はそれは当然とした、向日葵がたぬきうどんについて馴染みがないことは。菊は肉うどんを食べている。
「関西でも京都独特だから」
「それでなのね」
「結構関西って地域差あるじゃない」
「そういえばそうよね、関西って」
「神戸と大阪も違うし」
今彼女達がいる神戸とだ。大阪もかなりの違いがあるのだ。
「奈良とも三重ともね」
「滋賀も和歌山もね」
「もっと言えば」
菫も言う、若布うどんを食べつつ。
「同じ県内、府内でも違うわよ」
「ううん、関西ってね」
「この兵庫でも」
「瀬戸内と日本海の方でね」
「全然違って」
「神戸は神戸で」
そしてだというのだ。
「山の向こうとはまたね」
「違ってて」
「そんなのだから」
「地域によって違うから」
それでだというのだ。
「おうどんもね」
「それもなのね」
「そうなると思うわ」
菫はこう向日葵に話した。
「そして関西と関東で」
「とにかく辛いよ」
また言う薊だった。
「色も墨汁みたいでさ」
「噂は本当なのね」
裕香もここで言う、月見うどんを食べながら。
「関東のおうどんって黒くて辛いのね」
「横須賀でもそうだったよ」
関東だからだ、横須賀もまた。
「東京だけじゃなくてな」
「じゃあ孤児院でも」
「ああ、よく院長さん達蕎麦やおうどん作ってくれたけれど」
「おつゆ黒かったのね」
「実際にな」
「その噂が真実だったなんてね」
裕香はある意味において関心さえしていた。
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