第二十三話 明るい日常その三
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「別に」
「そうなのね、けれど」
「けれど?」
「そうしたことも出来る時間があるから」
ヘアスタイルを整えるそれが、というのだ。
「やっぱり朝早く起きるといいわね」
「三文の得っていうんですね」
「ええ、そうよね」
「確かに。朝早いと色々余裕があっていいですね」
「朝ってバタバタしてるからね」
どうしてもそうなってしまう、学校に行くなり会社に行くなりだ。自宅で働いていても朝はやはり忙しい。
「だから早起きだとね」
「余裕があって」
「三文の得よ」
そうなるというのだ、先輩は。
「やっぱりね」
「それだけ早起きはいいんですね」
「早寝遅起きって言葉もあるけれどね」
「それは確か太田蜀山人さんですよね」
江戸時代の人物である、武士であったが風刺において名を残した人物である、その風刺が随分と笑えるものだった。
「そのお父さんの」
「蜀山人さん自身じゃなかったわね、確か」
「はい、確か」
「とにかく。早寝早起きよ」
「それっが第一っていうことですね」
「私も部活してるとね」
朝練があるからだった。
「早寝早起きになるけれど天衝さんは」
「お寺の娘だからですか」
「足元にも及ばないわね、四時半起きって」
「禅宗の修行中なんかもっと凄いんですよ」
ここで着替え終わってだ、向日葵は先輩と共に部室の外に向かいながら話した。
「これが」
「四時半よりも?」
「三時半に起きるんです、十一時半に寝て」
「三時半って本当に?」
「修行の時間によっては二時半とか」
「それ真夜中じゃない」
その時間になるとだとだ、先輩は驚いた顔で述べた。
「二時半なんて」
「朝じゃないですよね」
「二時半は夜よ」
先輩は断言した。
「というか三時間しか寝てないじゃない」
「禅宗のお坊さんはあまり寝ないのも修行のうちですから」
睡眠欲という人間の欲の一つを抑える為にだ。それで寝ないのである。
「それでなんです」
「三時間とか四時間しか寝ないのね」
「そうなんですよ」
「身体壊さない?それだけしか寝ていないと」
先輩は首を傾げて言った。
「本当に」
「それがあまり、みたいです」
「身体が慣れるのかしら。せめて六時間は寝ないと」
「そうですね、私もそれ位は寝ないと」
「身体に悪いわよ」
睡眠不足はというのだ。
「本当にね」
「そうですよね」
「ううん、禅宗って凄いわね」
「あそこが一番修行が厳しいと思います」
仏教の宗派の中でもだというのだ。
「やっぱり」
「浄土宗とかよりも」
「ずっとです」
修行が厳しいというのだ。
「あそこは修行が第一ですから」
「座禅とか組んで」
「そうなんです、色々と修行して」
そしてだというのだ。
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