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美しき異形達
第二十三話 明るい日常その一

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           第二十三話  明るい日常
 向日葵の朝は早い、菊以上に。
 四時半に起きて着替えて寺の境内に入る。そのうえで。
 既に寺にいる家族にだ、笑顔で挨拶をした。
「おはよう」
「ああ、おはよう」
 まずは兄が彼女に挨拶をした、笑顔で。
「今日もな」
「うん、まずはね」
「朝の読経をしようか」
「今からね」
「そうしような」
「さあ、座りなさい」
 落ち着いた趣の母が娘に笑顔で言って来た。向日葵とは顔立ちは違うが表情はそっくりと言ってよかった。
「いいわね」
「そうね、じゃあ」
「はじめるぞ」
 父も言って来た、しっかりと整った僧侶の服を着ている。
「今朝も」
「そうね」
 こう話してだ、そのうえでだった。
 まずは一家全員で朝の読経をしてだ、そうして。
 一家で朝食を食べる、朝食は和食だった。
 白い御飯をメザシで食べつつだ、兄に言った。
「ちょっといいかな」
「どうしたんだ?」
「お兄ちゃん最近女の子と一緒にいない?」
「おい、そのことを話すのか」
「駄目?」
「いや、確かにな」
 兄は茸の味噌汁をすすりながら妹に答えた。
「彼女出来てな」
「あっ、やっぱり」
「デートもしてるけれどな」
「それでよね」
「御前それを見たのか」
「ちょっとね」
 そうだと答えた菊だった。
「見るつもりはなかったよ」
「ああ、御前はそんな奴じゃないからな」
 人を望み見する様な人間ではないとだ、向日葵自身に言うのだった。
「わかってるさ」
「一緒に喫茶店にいるの見たのよ」
「ああ、マジックか」
「マジックはうちの生徒よく行き来するからね」
「御前もなんだな」
「そうよ、私達もね」
 その通りだと言うのだ。
「あそこよく行くから」
「私達か」
「友達とね」
「そういえば御前友達多いしな」
「うん、その皆とね」
 マジック、その店にもというのだ。
「行くよ」
「そうか」
「そう、そこで見たのよ」
 友達と共にいてというのだ。
「それでふうん、と思ったのよ」
「ふうん、か」
「そう、ふうんよ」
 それ位に思ったというのだ。
「よかったわね」
「よかったか」
「彼女出来てね」
 微笑んで言った、そして。
 向日葵は梅干も食べた、そのうえで少し羨ましそうに述べた。
「私も彼氏欲しいってね」
「思うか」
「そう思う時もね」
 あるというのだ。
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