第十一幕その四
[8]前話 [2]次話
「そう思います」
「確かにそうですね」
「先生もそう思われますね」
「戦争は嫌いです」
先生はこのことをはっきりと言い切りました。
「それもスポーツよりも遥かに」
「そうですか、やはり」
「争いは何も生み出さないと思っていますので」
「それで、ですね」
「はい、戦争は嫌いです」
やはりこう言うのでした。
「好きになれる筈もないです」
「先生らしいですね、それでは」
「はい、それではですね」
「これからシンポジウムに出て」
そして、でした。
「午後はですね」
「狸さん達のパーティーにですね」
「出ましょう」
こうお話してでした、そのうえで。
まずはシンポジウムに出席してでした、それから。
午後にその砂浜に出ました、そこにはです。
まだ海には誰もいません、いるのは先生達だけです。カワウソさん達はその誰もいない海、遠くに漁船や漁網ブイが見えるその青い海を見て言いました。
「まだ海水浴のシーズンじゃないからね」
「泳いでる人はいないね」
「静かだね、まだ」
「誰もいないから」
「けれどね」
そのカワウソさん達に狸さん達が言います。
「ここで宴は開けるからね」
「今からパーティーするよ」
「それならいいよね」
「泳げなくても」
「そうだね、それじゃあ今から」
それならとです、カワウソさん達も応えます。
「パーティーだね」
「何が出るのか」
「昨日から楽しみにしてたよ」
「どんなのかね」
「さて、ではな」
それではとです、長老さんがその砂浜いに目をやりました。するとそこには沢山の鉄板が置いてありました。
その鉄板を見ながらです、長老さんは言いました。
「焼こうか」
「はい、わかりました」
「じゃあ今から」
「どんどん焼きましょう」
「もう食材の用意はしておる」
既にというのです。
「でははじめようぞ」
「それじゃあ」
皆応えてです、そうしてでした。
狸さん達はそれぞれ鉄板の横に移ってです、次々にあるものを焼きはじめました。それは何かといいますと。
「あれっ、あれは」
「はい、あれがです」
加藤さんが先生に答えました。
「お好み焼きです」
「広島の、ですね」
「そうです」
まさにそれだというのです。
「あれこそがですね」
「そうですね、神戸でも少し見ましたが」
「大阪焼きとはまた違いますね」
「どうにも。といいますか」
「そちらのお好み焼きはこちらではです」
「大阪焼きと呼ぶのですね」
「広島を中心としまして」
やはりその中心は広島でした、狸さん達が今焼いている広島風のお好み焼きのそれは。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ