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『八神はやて』は舞い降りた
第4章 戦争と平和
第32話 滅びのバーストストリーム
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で互角か。向こうも本気ではなかっただろうが)

「ははっ、そうだな。あらためて、ヴァーリ・ルシファー、今代の白龍皇だ。これからよろしく頼むよ、八神はやて」

「こちらこそ、世話になる、ヴァーリ・ルシファー。ボクは、八神はやて。夜天の王を名乗っている。いつもは、姿を変えているので間違えないようにね」


 お互い笑みを浮かべながら握手を交わす。
 全力ではないとはいえ、暴れることができて、主は嬉しそうだ。
 笑顔の彼女を見て、シグナムは、こわばっていた肩の力が抜けていく。


(白龍皇の力は凄まじかった。こちらと違って、向こうは非殺傷設定などないからな。万一に備えていたが、杞憂に終わってよかった)

(わたしもホッとしているよ、烈火の将)

(リインフォースか。実際のところ、主はやては、どこまで全力だったのだ?)

(ほとんど全力ではないな。マスターは、力の半分も出していない。おそらく、全力で戦えば二天龍を凌駕できるだろう)

(……っそこまでなのか。悔しいが、現在の私たちヴォルケンリッターでは、主を守ることができないのか)


 口惜しそうに、シグナムは念話で会話する。
 はやての実力はとびぬけている。
 技術では、いまだヴォルケンリッターに劣る。
 しかし、ありあまる魔力と身体強化によってゴリ押しすれば、はやてが勝つ。


(いいえ。マスターは、烈火の将たちの考えをお見通しの様子。貴女たちの強化計画を考えてあるそうだ)

(ふっ。そうか。主はやてには、敵わないな。臣下を――家族を心から大切に思われている。ならば、忠義をもって、主の信頼に答えるのみ)


 ヴァーリと仲良く話しているはやてを見て、彼らを味方にするのか、とリインフォースは尋ねた。
 しかし、彼女の答えは、否だった。


『彼らと慣れ合うつもりはないよ。どうせ短い付き合いだしね』


 彼女は、なおも続ける。


『ボクたちが起こす戦争は、彼らの望む戦争とは異なる。だって――』


 ――――戦争ではなくて虐殺なのだから


 主はやては、淡々と無表情で告げた。
 主なりの覚悟の現れなのだろう。あえて、「虐殺」と表現した。
 しかし、シグナムは見逃さなかった。
 憎悪を燃やす主の瞳に隠れた淡い感情は――苦渋と寂寥。
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