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『八神はやて』は舞い降りた
第4章 戦争と平和
第32話 滅びのバーストストリーム
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ろそろ場所を移しませんと、堕天使の連中に気取られる可能性があります」

「シグナム?……ああ、そうだった。結界がもたなくてドローとはね」

「いい戦いだった。久々に全力で戦えて満足だよ」

「ボクもいい肩慣らしになった。ただ、本気のヴァーリと戦えないのが、残念だよ。キミも、まだ切り札を隠し持っているだろう?」

(まさか、『覇龍(ジャガノート・オーバードライブ)』まで使用してくるとは、思わなかった。あれは、かなりのリスクを伴うはずだが……。ただの模擬戦で切り札を使うはずがない。つまり、彼には奥の手があるはず)


 覇龍は命を削る。軽々しく使っていいものではない。
 それをためらわずに使ってきた。つまり、覇龍を上回る切り札があるはずだ。
 そのように、はやては解釈した。


「へ?そ、そうだとも。えーっと、そう。本当は全力を出したかったんだが、膝に矢を受けてしまってな……。あー、残念だなー」

(覇龍まで使っておいて……ほぼ全力じゃないか)


 テンパるヴァーリ。珍しい姿だった。
 突っ込んでくるアルビオンに、黙っていろ、と小声で注意する。
 ヴァーリは、本気で戦っていた。全力で戦える敵と久々に会って興奮していた。
 しかも、相手は自分よりも強いときた。
 本来のヴァーリなら、目指す目標ができた、と言って喜んだだろう。
 しかし、きらきらと目を輝かせる幼女に、今更「いや、俺実は全力だったんだ」とは言えなかった。
 俺がこんなつまらないプライドを持っているとはな、と驚きと共に内心独り言ちる。


「それに、あと二回変身を残しているんだろ?いやあ、ボクだけ第二形態だったので、ちょっと申し訳ないね」


 はやては、覇龍までしたヴァーリを第一形態と思い込む。


「い、いや。覇龍状態が、第三形態なんだ……」
 

 ヴァーリが言いづらそうに話すと、申し訳なさそうにはやては黙った。
 顔に、えー、つまんなーい、と書いてある。
 いたたまれなくなった。
 雰囲気を変えようと、強引話題を転換する。


「そ、そういうはやても、あれが全力ではないだろう?」

「うん。お互い肩慣らしには十分だったな」

「あー、うん。そうですね」

(やっぱり、あれで本気ではなかったのか)

「ボクらくらい強いと、模擬戦の相手に苦労しているんじゃないか?」

「よ、よくわかったな。いつも手加減が必要だったから、ストレスが貯まってしょうがない」

「ボクもさ。ちょうどいい練習相手ができて感謝している」


 はやては、しみじみという。
 ヴァーリは内心冷や汗をかいていた。


(実際、助かったな。『覇龍』状態のヴァーリ・ルシファーが相手ならば、『本気の3割』くらい
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