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その魂に祝福を
魔石の時代
第三章
世界が終わるまで、あと――5
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明するように、状況が変化していく。
『――遠く遠く天と地の狭間に生まれしもの』
 光が詠唱を始める。彼がわざわざ詠唱するところを僕は初めて見た。
『迫る災禍見据え慟哭響く前に終焉に挑め』
 その言葉に応じる様に、光の纏う深淵のような魔力が世界を黒く塗り潰していく。
『我ら古よりの法に従い捧げるは肌膚賜うは炎』
 ブリッジにアラームが響く。ジュエルシードと異なる大型の魔力反応。その数値は今もなお跳ね上がっていく。
『禁忌より這い出し今ここに顕在せよ!』
 光の指先に小さな炎が生じる。それと同時、彼が苦悶の声を上げた。
「ダ、ダメ! 光お兄ちゃん、その魔法は使っちゃダメ!」
 なのはがその魔法の正体を知っているとは思えない。だが、彼が悲鳴を上げるということそのものが、その魔法の異常さを表していた。
 指先に生じた炎が、瞬く間に光の身体全てへと燃え広がる。だが、
「何が起こってるの?!」
「分かりません。魔力値今も上昇。クラスS……クラスS+……クラスSS。まだ上がります! 上昇止まりません!」
 魔力値を示す部分に表示されたのは明らかなエラーコード。測定不能という事だろう。
そんな表示が出るのを僕は初めて見た。多分、アースラのクルーだって同じはずだ。
「リブロムさん!」
 思わず問いかけていた。答えがあるとは思えなかったが、
『禁術サラマンダー。魔法使いが本来その生涯においてただ一度だけ使える切り札だ』
 本来なら、だけどな――リブロムはそんな事を言った。続けて嗤う。
『相棒の魔法を知りたがっていただろ? なら、よく見ておけよ。さすがの相棒もあんな
もんそう何度も使わねえだろうからな』
 そして、
『―――ッ!』
 声なき悲鳴。いや、咆哮だった。御神光の全身を包んだ炎はさらに膨れ上がり――炎の巨人をそこに顕在させる。それが放った叫びだった。
「なん――ッ!?」
 モニターが真っ白に染まる。それでも分った。その咆哮は海そのものを干上がらせんば
かりに荒れ狂い――
「ジュエルシードの反応……安定しました」
 六つものジュエルシードを、強引にねじ伏せた。だが、そんな事はどうでもいい。
「いやああああああっ!」
 なのはの悲鳴。その原因は、御神光の姿だった。不思議と着衣に損傷がないためはっきり見えないが――ほぼ間違いなく、全身隈なく焼け爛れている。明らかな致命傷。生涯ただ一度。それが意味するのはつまり、こういう事なのか。
「行こう、なのは!」
 崩れ落ちそうななのはの肩を抱き抱え叫ぶ。
「ユーノ君?」
「転送ポートなら、僕が操作できる! だから早く!」
 覚悟を決めた。例え今さらでも。その結果、僕がどうなろうと。
「管理局に捕まる前に、光さんを助けなきゃ!」
 戦闘能力では勝てない――が、これで
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