魔石の時代
第三章
世界が終わるまで、あと――4
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――文句を言いながらも――彼女の傍を離れない。そう考えていい。いや、そう考えた方が自然だろう。とはいえ、なのはが危険に曝されていると言う事は変わらない。光はそう考えているはずだ。にも関わらず、一体何故連れ戻しに来ない? リブロムが傍にいれば、それで充分なのか?
(そもそも光さんにとってリブロムさんはどんな存在なんだ?)
リブロムにどのような事が記載されているのかは僕にも全く分からないが、それでもわざわざ本の形を取らせている以上何か重要な事が書かれているはずだ。それこそ内容次第では自分の急所を晒す事になるかもしれない。それを何故なのはに預けたままなのか。
(そんな事は決まってるじゃないか)
なのはが管理局にいる事を知りながら、預けたままにしておく理由。それは、リブロムに彼女を守らせるためだ。ジュエルシードの生み出す暴走体から。管理局から。そして、おそらくは僕からも。そして、リブロムもそれを理解している。ただそれだけの事だ。
(まぁ、相棒って言うのはそういうものなのかもね)
信頼できる相手が傍にいるから、なのはを連れ戻しに来ない。そう考えるのは有りかもしれない。けれど、やっぱり疑問は残る。何で、自分で守らない?
(ひょっとして――)
ふと閃くものがあった。光の中で変化したもの。それは――
(ひょっとして優先順位が変わった?)
声にせず――間違ってもなのはには聞こえないように呟く。だが、そうだとしたら――確かに説明はつく。つまり、こういう事ではないか。
(あの子は……今のなのはより危険な状態にある。そう考えれば――)
『正体不明の組織に捕まり、戦力とされている』なのはよりも、あの金髪の子は危険な状況にある。そんな彼女を守るためだというなら、多分辻褄はあう。ただ、
(何でその殺戮衝動って言うのは今さら目覚めたんだ?)
話をこじれさせているのは、やはりその衝動だと思う。その影響がある限り、冷静な話し合いと言うのは難しそうだった。では、その殺戮衝動は何故目覚めたのか?――ジュエルシードとの接触が理由だとは考え辛いように思う。僕と最初に出会った夜は、ジュエルシードに触れていたにも関わらず光は殺戮衝動になんて囚われていなかった。それどころかあの時、ジュエルシードは酷く安定していた。それこそ、レイジングハートの封印と同じか、それ以上に。それなら、
(あの子達と接触したこと?)
それがどう関係してくるのかは分からないが。あの二人と接触した際に何かあったと考えていいのではないだろうか。それこそ、彼女達との接触こそが原因だとしても。
もしも彼女達と出会ったせいだとして。そのうえで、行動を共にしている。それはつまり、彼女達は切っ掛けであって、殺害対象ではないのはないか。それなら――
(やっぱり、あの子達の素性が鍵になるんだよね……)
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