魔石の時代
第三章
世界が終わるまで、あと――4
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変換資質を持っていると考えられます」
言いながら、エイミィはいくつかのデータを示した。
「魔力変換資質持ち、ね。なおさら未登録というのはおかしい話だけれど……」
魔力変換資質持ちは血縁者にも同じ資質持ちがいる傾向がある。もちろん、突発的に発生し、一代限りという場合もあるが――何であれとっかかりが欲しい。まずはその線で洗ってみるべきか。
「エイミィ。雷の魔力変換資質持ちやその血縁者の中で、彼女の魔力波動に近い人物を探してちょうだい」
「分かりました。ちょっと待っててください」
すぐさまエイミィが検索を開始する。もっとも、彼女の能力を持ってしても膨大なデータから該当者を見つけ出すには時間がかかるだろう。
(それだけの時間があればいいのだけれど……)
懸念を声に出さないまま呻く。
リブロムの宣言はひとまず置いておくとして。ここ数日、御神光達はジェルシードを回収できずにいる。未回収のジュエルシードも残り少なく、向こうは焦っているはずだ。追いつめられた人間というのは思わぬ行動に出る。より一層の警戒が必要となるだろう。
「強硬な手段に出られると、さすがに分が悪いわね……」
AAAクラスの魔導師とAAクラスの魔導師。いや、最悪はAAAクラスの魔導師が二人。しかも、片方は実戦においてクロノすら凌駕する魔導師である。アースラの戦力だけでどこまで抑え込めるかは未知数だ。
「なのはさんの様子は?」
「相変わらずですね。むしろ、もっと思いつめちゃってます」
「そう……」
それは仕方がない事だろう。とはいえ、御神光と最も安全に接触できるのは彼女だ。戦闘を回避するなら彼女の協力は必須である。それに、
「もう一度、リブロム君に情報提供に応じる様に頼んでもらった方がいいわね」
彼女は御神光の情報を持つであろうリブロムを説得できる可能性も最も高い。もちろん、私自身も何度もリブロムに直接頼んでいるが――その全てを鎧袖一触で無視された。それを考えれば、今さら口を開くとも思えなかったが。
(それでも、やれる事は全てやっておかなければ)
ロストロギアの暴走は深刻な悲劇を引き起こす。それは痛いほどよく知っている。思い知っている。だからこそ、そんな思いをする人を一人でも減らさなければならない。一人でも多く救うと誓ったのだ。
(このまま彼を止められないなら――)
怨まれる覚悟も決めなければならないのだろう。必要とあれば決められるはずだ。それが私の仕事だ。けれど、
(なのはさんに同じ気分を味あわせるのは嫌よね)
私自身が怨まれるだけなら耐えられる。でも、あの子は酷く悲しむだろう。その悲しみを見るのは多分耐えられない。偽善だと言われればそれまでだ。無駄な足掻きかもしれない。それでも、最悪の決断を下すその時まではあの子の味方でいたいと思う。だか
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