暁 〜小説投稿サイト〜
その魂に祝福を
魔石の時代
第三章
世界が終わるまで、あと――4
[4/15]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
たが、つけばフェイトが余計不安を感じるだろう。飲み込んでから続ける。
「だから、俺は俺のできる事をするだけだ。お前一人くらいなら俺にも何とか守れるさ」
 手が届くところにいてくれればな――フェイトに笑いかける。
「うん。その、ありがとう……」
 少し照れたように――少し安心した様子でフェイトが微笑んだように見えた。
 だが、俺が言ったのは酷い言葉だった。フェイトの世界は酷く狭い。自分の手に収まってしまうほどに。そう言ったも同然なのだから。
(その状況が気に入らないんだろ?)
 右腕に問いかける。この衝動が何故目覚めたのか、きっかけも理由もいい加減見当がついていた。それが間違っていない限り、フェイトを救う事こそが俺が衝動から逃れる唯一の手段となる。だが、それは果たして実現可能だろうか。この子を救うためにはある意味、管理局を皆殺しにする事など比べ物にならないほど困難な事に挑まなければならない。
(そればかりはな)
 どれほど悩んでも、考えを張り巡らせても意味がない。どんな小細工も力も――それこそ世界を滅ぼせるほどの力であったとしても等しく無意味だ。それでも挑まなければならない。まったく、厄介なことだ。
「ところでアタシは?」
 守ってくんないの?――アルフがそんな事を言った。
「……まぁ、手が届くところいればな」
 真顔でそんな事を言われるとさすがに返事に困るが――まぁ、見捨てるつもりはない。それこそフェイトの傍にいてくれれば纏めて庇うくらいの甲斐性はあるつもりだ。
(アルフに何かあればフェイトだって無事とは言い難いだろうしな)
 相棒を失う辛さを理解できない訳がない。フェイトにそんな思いをさせるつもりはなかった。そう……させるつもりはない。
「さ、そろそろ帰るぞ。ここに留まっても捕捉される危険が増えるだけだ」
 監視機械の注意が他所に向いたのを確認してから、二人を促す。二度も目の前でジュエルシードを横取りされたせいだろう。渋々と言った様子で二人が動き出す。
 それからしばらくして。
「で、何でアタシ達は荷物持ちしてんのさ?」
「何でって、そろそろ食糧が底をつくって言っただろ?」
 不死の怪物だろうが魔法使いだろうが、補給もなしに戦い続けられる訳がない。
「ついこの前、缶詰とかたくさん買い込んだだろ!」
「あれは緊急用だ。補給する余裕があるのに、いきなり備蓄を崩してどうする」
 いつもと違う細い路地を歩きながら、肩をすくめる。いつもの道は、あの監視機械が見張っていた。とはいえ、こちらの生活圏を把握している訳ではないらしい。少しばかり回り道するだけで、簡単に回避する事が出来る。さらに、その監視網の緩さはここ数日で全く変化がなかった。いや、緩さというのは語弊がある。自らの意思で動き、警戒し、対処できる存在であれば、すり
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ