魔石の時代
第三章
世界が終わるまで、あと――4
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と接触したいからな)
管理局の思惑を知るには、もう一度リブロムと接触する必要がある。その時にはおそらく、なのはに関する一件にも決着がつくだろう。それがどのような形であれ、だ。
「……ねぇ、光。訊いてもいい?」
ため息をついていると、フェイトがどことなく怯えたような声で言った。彼女の問いかけの内容よりも、その様子が気になった。
「どうかしたか?」
「何で光は私に協力してくれるの? 私達のせいでその衝動っていうのが目覚めちゃったのに。それに――」
珍しく矢継ぎ早にフェイトが言葉を連ねる。
「妹さんが心配じゃないの?」
その目は不安に揺れていた。それはそうだろう。楽観視できる状況ではない。
「なのはが心配かどうかなら、そりゃもちろん心配だよ」
フェイトを苛む不安を取り除く事は、今の状況では不可能だ。だが、せめて不要な気苦労くらいは取り除いてやれるはずだ。
「それなら、今からでも管理局に――」
「投降しようって? それで、お前達はどうなる?」
それで俺が殺戮衝動から解放される事はあり得ない。それに、例え殺戮衝動がなくとも、今さらこの子を見捨てるつもりなどなかった。
「でも!」
なのはとフェイトを天秤にかけてどちらかを選ぶ。そんなつもりはなかった。
「何でお前に協力しているかだが――」
フェイトの言葉を遮って、笑って見せる。
「俺が守れるとすればそれはこの距離までだからかな」
ポンと頭に手を載せて告げる。傍にいれば全てを守れるか?――その問いかけは否定するより他にない。例え目の前に広がる敵全てを殲滅できたとして、それが何になる。別動隊がいればそれまでだ。例えどれほどの力があっても個人である以上、一度に守れる数には限界がある。そして、俺の不死性は俺しか守ってくれない。息絶える前に血を与えれば復活させられるかもしれないが――
(一度や二度くらいならどうってことはないが……)
それでも、その呪血を浴びる事は人から外れる事を意味する。ほんの少しずつでも人ではいられなくなる。それでも、死ななければ守れた事になるのだろうか。悩ましい問題だ。未だに答えは見えない。だが、
「なのはにはリブロムがついている。それにまぁ、アイツに言いくるめられたらしいユーノも。それに、いざとなればウチのチャンバラ馬鹿どももいい加減止めるだろうさ」
なのはを『守る』には俺の手はいくらか小さすぎた。なのはを守るにはあの子を取り巻く暖かな世界全てを守らなければならない。残念ながら、今も昔も自分にそんな力はない。精々それに仇なすものが近づく前に迎え撃てるかどうかといったところだ。
そもそも本来であればそれこそが俺の仕事であり、なのはを直接守るのは士郎達の仕事だ。……少なくともそういう約束を交わしていたはずなのだが。ついため息をつきそうになっ
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