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その魂に祝福を
魔石の時代
第三章
世界が終わるまで、あと――4
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守りに来たと言う。……光は私達が危険な目にあわないように、ジュエルシードを集めていたはずだ。なのに、何故争っているのだろう。それに、
(あの子は……どうしてジュエルシードを集めているの?)
 金髪の魔法使い。私と同い年くらいのとても綺麗な女の子。ついに名前を教えてくれなかった。あの子は、何でジュエルシードを集めているのか。
 分からない。分からないけれど――
(あの目……。あの哀しそうな眼……)
 彼女の眼を見た時、ひょっとして恭也は光が何故あの子と一緒にいるかが分かったのではないだろうか。ディスプレイに反射する自分の顔を見ながら呟く。だって、
「あの子はきっと、昔の私と同じ……」
 とても寂しくて、とても哀しくて。でも、誰もいない。誰もいてくれない。誰にも甘えてはいけない。寂しくて哀しくて辛くてたまらなかったあの頃の私と同じ。
「そうでしょ。リブロム君」
『……まぁ、そう言う事だろうな。だから相棒は一緒にいるんだろ』
 私の問いかけに、リブロムはそう言った。私よりあの子が大切なの?――なんて、そんな事を全く思わなかったとは言わないけれど。
「あの子は、何でジュエルシードを集めているのかな?」
『さぁな。だが、管理局の連中が考えているような物騒な事じゃあねえだろ。でなけりゃ相棒が協力する訳がねえ。何せ、この世界にゃ可愛い可愛い大切な妹がいるんだからよ。ヒャハハハハハッ!』
 きっと。あの子にとっては何よりも大切な何かがそこにあるのだろう。そして多分、昔の私のように――ひょっとしたら、もっと辛い思いをしている。だから、光は――
「あのね。少しだけ安心したって言ったら驚く?」
『ああん?』
 怪訝そうにリブロムが言った。焦りはある。当然のように怖い。でも、少しだけ安心た事がある。
「本当はね。光お兄ちゃんの事が怖かったんだ。私が知らない光お兄ちゃんの事が」
 魔法使いだとか。魔物退治だとか。掟破りだとか。色々と知らなかった光の姿。それはとても怖いものだった。でも、
「やっぱり変わらないんだなって。やっぱり光お兄ちゃんは優しいんだよ」
 光は、あの子を助けようとしている。そう信じられる。
『……かもな。アイツはどうしようもないくらいお人よしなバカ野郎だよ』
 今までになく邪気のない様子でリブロムが笑った。
『さぁ、早く寝ちまいな。寝不足でふらふらした状態じゃ相棒は捕まえられねえぞ』
「うん」
 眠れない。寝てしまえば一日が終わってしまう事を認める事になる。それが怖い。
『なんなら子守唄でも歌ってやろうか?』
 冗談なのか。それとも本気なのか。リブロムはどちらのつもりで言ったのか分からなかったし、私もよく分からないまま頷く。
『やれやれ……』
 優しい――聞き慣れた歌が暗い部屋に響く。リブロムの独特の声だった
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