暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
GGO
〜銃声と硝煙の輪舞〜
少女始めました
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隣で同じ思いをしていたであろう、こっちは露骨に顔に出している従姉に口を開く。

「んで、そのメッセンジャーさんとは、ここのカウンターで待ち合わせでいいんだっけ?」

「え?……あ、あぁ、うん。そうだったね」

苦労して、人が作る壁の中をゆっくりとだが進み、厨房からの油脂で浅黒く変色したカウンター席に辿り着いた。これほどまで賑わっているというのに、カウンターは人が少なく、どことなく静かだ。おそらくそれは、この店が狩り終わりの一杯を飲むプレイヤーパーティーを狙って作られているからだろう、とレンは適当な予測をつける。

よくは知らないが、個対個がその気になれば可能であるALOとは違い、GGOではソロプレイヤーは少ないのではないだろうか。実際、先程大通りですれ違うプレイヤー達の殆どは最低でも二人組を構成していた。

とりあえず何か頼もうかと卓上のメニュー表を取り上げるより早く、すぐ隣から声が上がる。

「お前達が、レンとユウキか」

「「――――――ッッ!」」

気が付かなかった。

気配が薄いとか隠れていたとか、そういうチープな次元ではない。その男は、瞬きした一瞬の間に隣席に音もなく座っていた。

男、とは言っても、声の感じからの推測だ。都市部での戦闘に特化したものだろうか、コンクリートみたいな灰色のフーデッドコートのフードを目深にかぶり、さらに俯きがちだ。顔の委細など判るはずもない。武器はと目線を落とすが、コートが身体全体をすっぽりと覆っているため判別不可能。

声もなく固まっている二人に対し、聞こえなかったと判断したのかその男は言う。

「もう一度訊く、お前達がお館様から密命を受けた者か」

お館様?とレンとユウキは顔を首をかしげ、やっと眼前の男がシゲクニの言っていた人物なのだと気が付いた。

「え、えぇ。えと、あなたがボク達に何か授けてくださるんですよね?」

不気味な感じは拭えないのか、レンより男にほど近いユウキが若干引き気味な言葉で尋ねる。

回答は行動で返された。

カウンターの上をスーッと滑ってきたのは、無骨な茶封筒。しっかりと糊付けまでされている代物だ。

「これは?」

レンが尋ねるが、男は彫像のように固まって答えない。開けて中を見てから言え、という事だろうか。ふむ、と鼻息一つレンがべりべりこじ開けてみると、中からは二枚の薄っぺらな紙切れが滑り落ちた。

茶封筒から出たにしては驚くほどカラフルな長方形の紙だ。そこには――――

「「船上パーティーの………チケット?」」

豪華客船の写真もついている。この紙切れはどうやら、金持ち達が集まってパーティーでもしようか、みたいな金の無駄遣いとしか思えないほどの大きな船上パーティーの招待用チケットらしい。

そこまで
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