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少女始めました
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い一線というものはある。当の老人は、あくまで情報を渡すだけと言っていたが、それもどこまで信じられるか。

時々道行く人に道を聞き、何とかその酒場まで行こうとするのだが、ほとんどの人が知らないと言うほどのシケた店らしい。それだけ渡される情報が重要だという事だろうか。

いずれにせよ、期待は膨らむ。

やっと行き着いたときには、ログインしてから二時間が経過していた。

裏路地で浮かび上がる切れ切れのネオンを前に、ぜぇぜぇ肩で息する二人組はそうとう怪しい。

はっきり言って、超浮いていた。

店の外観は、何と言う様式なのかは分からない。そう、あえて例えるのならば、古き良きアメリカの西部劇映画に出てきそうな木造建築だ。今にも、胸の高さの小さなオープンドアの向こう側から、リボルバー片手のテンガロンハットおじさんが鼻歌でも歌いながら出てきそうな気配が漂ってくる。しかしそのくせ、店の屋根部分には、屋号がデカデカと記されているネオンが据えられているのだから、イマイチ店主の趣味が分からない。

「ここ…………だよね」

「うん。そのはず、だよ」

二人で顔を見合わせ(ユウキは笑いを堪えつつ)、大きく頷く。

ギィ、と。

古びた木材特有の軋んだ音を立てながら、しかし滑らかに西部劇的ドアは回転した。

VRMMOにおける《屋内からの音》というのは、《聞き耳》などの特殊なスキル等を使わない限り、全体的にほぼシャットアウトされる。例外なのは、戦闘音、叫び声(シャウト)、ノックに対する応答ぐらいである。

それらを無効化する方法は簡単だ。要は、その完璧無慈悲なまでの遮音効果を発揮するドアを開け放ってしまえばいい。

かくして、ドアを開け放った少年少女の耳に、ワッという騒音が炸裂した。

なかなかの裏道(当社比)にあり、外観もなかなかのコア度を誇っていたにもかかわらず、その実態はかなりの盛況のようだ。プレイヤー運営ではなく純粋なNPC酒場らしく、人がぎっしり詰まった狭い店内の中で、店員と思しきNPCが休む暇もなくフル回転しているのが伺える。

だが、と少年は店内を見渡しながら思考する。

こんな、ありふれた、それこそどこにでもあるような酒場でも、ファンタジックなALOとはだいぶ趣が違うように思える。

言い方は悪いかもしれないが、あえて直球かつ抽象的に言い表そう。

なんかギトギトしてる。

いや、SF的設定で、さらにはガンゲーだ。潤滑油やら機械油やらでそうなってしまう事もむべなからぬかもしれないが、それにしてもこの酒場はいささか度を越しているようにも感じる。足元がコンクリート剥き出しだからだろうか。

もっと端的に言えば、ゴキブリとか平気で出てきそう。

レンはそこまでの思考を脳裏にしまい込み、
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