Fifth day
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ここ数日で最も良い目覚めをした士郎は、誰よりも早く台所に立っていた。まだ完全にスッキリとしているわけではないが、寝不足による疲労は昨日でとれていた。
久しぶりに朝食を作るため、鼻歌を歌いながら手を動かしていく。だしを入れて鍋を火にかける。お湯が沸騰するまでの間、冷蔵庫を覗いて何を作るか考える。納豆と油揚げ、そしてワカメと卵、野菜入れにあった山芋とネギを取り出し冷蔵庫を閉める。味噌汁にいれるワカメとネギを手早く切って、ボールにいれる。そして、油揚げを半分に切っていく。この油揚げの中に、納豆と卵そしてあまったネギを入れてフライパンで焼くことで、キツネ焼きを作ろうとしていた。材料をボールにいれて混ぜ合わせていると、後ろから声を掛けられた。
「おはようございます、士郎さん」
「ん、おはよう。時臣」
ボールを持ちながら振り返ると、今日もきっちりと服を着ている時臣の姿があった。
「何か、手伝いましょうか?」
「あ、それなら、この山芋を……」
そこまで言って、昨日の夕飯時の事を思い出す。この子に包丁を持たせるのは、不良に鉄パイプ持たせるようにすごく危険だ。いや、凶暴になるとかそういう意味じゃなくて。
「えっと、それじゃあ、新聞取って来てくれるかな。あと、クロがまたどっか行っちゃったから、庭でご飯だよって言ってくれると助かる」
「はい、わかりました」
そう言うと時臣はパタパタと走っていく。士郎は、沸騰した鍋の火を弱め、先程切ったワカメとネギを入れる。
「おはよ、士郎」
「おはようございます、シロウ」
二人の少女の声がして、また士郎は振り返る。着替えを済ませている凛とセイバーに、士郎もおはようと返す。
「シロウ、今日の朝ご飯は何ですか?」
嬉々とした表情でセイバーが尋ねる。士郎は山芋をサイコロ状に切りながら答える。
「ワカメとネギの味噌汁と、納豆入りのキツネ焼き、それと山芋の梅肉和えかな」
「寒くなってきているのだから、体を冷やす原因となる冷たいままの山芋はどうかと思うぞ」
ぬっと出てきたアーチャーに驚きつつ、彼の言葉にうっと詰まる。アーチャーはそれ以上は何も言わず、すたすたと去っていく。そこで、士郎は思い出したように二人に言う。
「そうだ、俺、今日は少し早めに学校行くよ」
「ふーん、別にいいけど、何か用事でもあるの?」
大きく伸びをしながら尋ねる凛に、士郎はそれは、と答える。
「昨日迷惑かけたから、一成に朝のうちに一言声かけておきたいんだ。どうせ、生徒会室に籠ってるだろうし」
「はいはい」
凛はそう答えると、居間の方へ歩いていく。セイバーもそれに続き、台所はまた士郎だけの空間となる。お腹を空かせた虎が押しかけてくる前に、早く残りを作ってしまおうと、士郎は作業に戻った。
学校についた士郎は、生徒会
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