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Fate/insanity banquet
Fifth day
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男性であるギルガメッシュが取り調べを受けたというのは、この後セイバーの中での一番のネタ話となるものだった。

 日の入りが過ぎ、オレンジ色に染まっていた夕焼け空が藍色と混
ざり合っていく。その様子を、公園のベンチで見つめている少女が一人。しなやかな指で煙管を持ち、ゆっくりと煙吸う。そっと口離し、惜しむように煙を吐いていく。
「それで、どうだったのだ。雑種」
 彼女の前に立ったのは、先ほどセイバー達と対峙していたギルガメッシュ。彼女は煙管を自分の横に置き、彼を鋭い眼差しで射抜く。
「黙りなさい、金ぴか。わたくしを誰か分かって、その下賤な言葉でわたくしを呼んでいるのだとすれば、万死に値するわ」
 彼女の強い言葉に、ギルガメッシュはぴくりと眉を動かす。
「ほう、貴様。死にたいか?」
 地を這うような声と共に放たれる殺気。目の前の彼女はそれを恐れるでもなく、受け流す。
「わたくしには、あなたを座に還らせるだけの力はあってよ?」
 そう言い、彼女が彼に見せたのは、腕にある一つの輪。金に輝き、細かな装飾があるのが見て取れる。そして、そこにあるだけでもかなりの魔力を放っているものなのだとも。先に折れたのは、ギルガメッシュのほうだった。余計なことをする気はないと言いたげに、首を竦める。
 だがすでに彼女の意識は、他に向けられていた。
「衛宮士郎の側に感じていたから、一体なにかと思っていれば。あの子の魂の入れ物が、あの化け猫だったとは。セイバーが、初めてあの猫と対峙した時、ただのコピーかと思っていたけれど、さっきのでようやく確信が持てた。あれは、コピーじゃない。オリジナル……」
 ぐっと拳を握りしめて彼女は悔しそうに呟く。
「我が、あの場で足止めしてやったことは、貴様にとって有益になったのか?」
「……。感謝はしているわ。わたくしの計画に一瞬でも手を貸して下さったことには。でも、あなたはわたくしの敵よ」
 彼女の敵という言葉に、ギルガメッシュは、別段驚いた表情を見せない。彼女は風によって靡く黒髪を手で押さえながら続ける。
「だってあなたは、あの二人の少年や、衛宮士郎を殺すことを良しとはしないでしょう?」
 ギルガメッシュは何も言わない。
「先ほどの、時臣と雁夜と言う少年。彼らは、聖杯戦争で命を落としたマスターの転生体。その上、彼らは前世の記憶を持って存在している、完全なる異分子。わたしくしは、彼らを消去しなくてはならない」
 彼女の口からはっきりと告げられた、転生体という言葉。ギルガメッシュは、時臣を初めて見た時に自分の中に過ったものが正解だったのだと分かる。今、この冬木にいる時臣と言う少年は、紛れもなく第四次聖杯戦争の折、自分が見殺しにしたマスターなのだと。その事実が分かったことで、ギルガメッシュは自然と自分の口角が上がるのを感じる
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